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On the Production
by 井口健二
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■ランド・オブ・プレンティ、ARAHAN、大停電の夜に、アクメッド王子の冒険、モンドヴィーノ、親切なクムジャさん
る。刑務所の中での彼女は周りの女囚たちに献身的に接し、
「親切なクムジャさん」という異名を取るほどの模範囚。し
かしそれは、彼女には出所後に遂げるつもりの復讐のための
準備でしかなかった。
出所時、皆が食べて新たな人生を誓う白い豆腐も断った彼女
は、先に出所した女囚たちを訪ね歩き、その復讐の準備を進
めて行く。そしてそれを遂げる時が来るのだが…
イ・ヨンエは、先に主演したテレビシリーズの人気が高いよ
うだが、本作ではその役柄が180度違っているのだそうで、
前の印象で見に来るとかなり衝撃の展開になるようだ。実際
に、後半の復讐を遂げるシーンはテレビドラマでは到底描け
ないものだろう。
でもその点を除けば、物語は主人公による復讐の過程を丁寧
に描いたもので、その展開は納得できる作品だった。また最
初と最後のシーンの対比が、その間の心情の変化を見事に描
き出していた。
なお映画では、刑務所の中の状景と現在とが交互に描かれ、
特に刑務所内での天使のような主人公と、現在の復讐のため
全てを捨てた女性の姿が際立った対照で描かれる。しかしそ
れが、実の娘と再会する辺りから微妙に変化して行くのも見
事に描かれていた。
『JSA』では、ちりばめられた断片がモザイクのように組
み合わされていく構成だったが、本作では徐々に手の内を明
かして行く感じのものでその構成も見事。まあ、テーマが復
讐なので、かなり強烈な場面も登場するが、全体はテンポも
良くうまく描かれている。
因に、韓国では7月28日の封切では『宇宙戦争』を越える今
年最高のヒットを記録しているということだ。また、本作は
今年のヴェネチア映画祭のコンペティション部門にも招待さ
れているそうだ。
08月31日(水)
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