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On the Production
by 井口健二
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■ステルス、SHINOBI、ボム・ザ・システム、あそこの席、@ベイビーメール、TKO HIPHOP、ヘッドハンター
しかし、映画全体はちょっと甘ったるいが良い感じがしたも
のだ。なお、プレス資料に、脚本・監督の谷口則之について
の紹介が無く、またウェブなどで調べても情報が見つからな
かったが、この名前は気にしておきたいと思った。
『ヘッドハンター』“Pursued”
クリスチャン・スレーター主演で、実績のある企業戦士を、
収入のアップなどを誘い水にして他企業に斡旋するヘッドハ
ンターの姿を描いた作品。
日本でも、最近は終身雇用が崩れて、転職が横行してきてい
るが、アメリカでは、さらに企業で実績を上げた人材を引き
抜いて他企業に転職させるヘッドハンターが、すでに認知さ
れた職業になっているようだ。
そして物語の主人公は、ヴェンチャー企業で画期的な技術開
発をした技術者と、その技術者を大企業に転職させようとす
るヘッドハンター。しかしこのヘッドハンターが、狙った人
間を獲得するためには、殺人をも厭わないというとんでもな
い男だった。
ヘッドハンターの実態がこれほどまで凶悪なものとは思わな
いが、ある意味サイコティックなハンターの姿が、スレータ
ーによって巧妙に演じられている。なお、当初スレーターに
は技術者役がオファーされたようだが、本人の希望で変更さ
れたそうで、その意気込みも感じられるところだった。
ただしその分、技術者役のギル・ベロースはちょっと弱い感
じで、最初はまあ技術者はこんなものかという感じもしてい
たが、それが後半反撃に転じる辺りで、ちょっと演技力の不
足をさらけだした感じだ。これがスレーターだったらという
感じもした。
もっとも物語自体は、後半がアクションになってしまうのが
もったいない感じで、ここは後半も心理戦で進めてもらいた
かった感じもしたものだ。そうすれば、これらの配役ももっ
と生きてきたと思うところだ。この辺には、ちょっと脚本家
の力不足も感じられた。
とは言え、前半のじわじわと相手を追いつめて行くテクニッ
クは巧く描かれていたし、このやり方なら、自分も乗ってし
まうのではないかという気持ちにもさせる。また、それを留
めるのが上司に対する信頼という辺りは、今の日本にも通じ
る感じもするものだ。
その意味では、日本人の方がこの作品を評価しやすいかも知
れない。もっとも最近の若い人たちの感覚には、アメリカ人
に近いものも感じるものではあるが。
他には、エステラ・ウォーレン、マイクル・クラーク=ダン
カンらが共演。なお監督のクリストファー・タボリは、『ダ
ーティ・ハリー』などのアクション映画の名匠ドン・シーゲ
ル監督の息子だそうだ。まさかそのせいで、後半をアクショ
ンにしたのでは無いと思うが。
08月14日(日)
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