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On the Production
by 井口健二
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■ミリオンダラー・ベイビー、バス174、皇帝ペンギン、マイ・リトル・ブライド、初恋のアルバム、ザ・リング2、Little Birds
しかし点描的に襲ってくる恐怖シーンはさすがに鮮烈で、恐
怖映画としても存分に楽しめる。この辺のバランス感覚の良
さが認められたのだろう。すでに次回作は、パン兄弟オリジ
ナルの“The Eye”のリメイクが、早ければこの夏にも製作
開始となるようだ。       
                           
『Little Birds』             
テレビ朝日系列のニュース番組などで、イラク戦争開戦前後
の現地レポートを担当していたフリージャーナリスト綿井健
陽が撮影した映像を元に編集されたイラク戦争の実体を描く
ドキュメンタリー。                  
開戦直前の意外と平静な市内の様子から、空爆、戦闘、そし
てその爆撃によって幼い兄弟を失った父親や、非人道的なク
ラスター爆弾によって片目に障害を負った少女、あるいは片
腕を失った少年などのエピソードが時系列で綴られる。  
また、人間の盾となった女性が進駐してきた米兵に抗議する
姿や、綿井自らが米兵に詰め寄る姿(フレーム外の音声だが)
なども写し出される。                 
このページの読者の人はお判りと思うが、僕は基本的に反戦
の立場を取る。従ってこの作品は自分の信条に近いものと言
える。しかし上記したような、作者自らが詰め寄る姿が写し
出されると、ドキュメンタリーとして正しいことか疑問を持
つ。                         
この手法は、最近のマイクル・ムーアの作品で認知された感
があるが、本来の報道ジャーナリストは、自らの信条はどう
であれ、写し出される中では冷静に中立を装って伝えるのが
正しい姿ではないだろうか。              
もちろん、中立を装って偏向した報道をされるのが最も危険
な訳で、それに比べればこの方が判り易くて結構という意見
もあるだろうが。この作品では作者自ら詰め寄る姿が、何か
幼稚に見えてしまった。                
実は上映後にトークイヴェントがあり、そこで米兵に詰め寄
るシーンは、最初に米兵側から話しかけてきて、その過程で
意地悪質問として発したものだということだ。そうであるな
ら、そこまでの流れを見せた方がより良いものになったよう
な気がする。                     
100時間以上の映像を2時間ほどにまとめることの苦労は理
解するが、この作品の造り方では、かえって主張が反感を買
ってしまうような、そんな危険も感じてしまった。    
なお、試写会ではプレス資料が貰えなかったので、上記は自
分の記憶だけで書いている。従って誤解などあるかも知れな
いが、その点のご了承をお願いします。         

04月14日(木)
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