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On the Production
by 井口健二
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■第73回
そのため精神的な病に取り付かれてしまう。やがて妻が行方
不明となり、脚本家は抱いている疑惑の全てを脚本にしよう
と執筆を開始するが…、徐々に現実と物語の境が不明瞭にな
って行くというもの。1991年にブライアン・デ・パルマの監
督で映画化された“The Bonfire of the Vanities”(虚栄
のかがり火)などの脚本家としても知られるマイクル・クリ
ストファーが自作の脚本を監督する作品で、撮影は来年の5
月15日からノヴァスコシアのハリファックスで予定されてい
る。しかし、現在のところ配給会社は未定だそうだ。
 8月1日付の第68回で紹介した“The Italian Job”(ミ
ニミニ大作戦)の続編について、パラマウントから、マーク
・ウォルバーグ、シャーリズ・セロン、セス・グリーン、モ
ス・デフに対して、再登場の交渉を行っていることが正式に
発表された。なお、脚本は前回報告した通り、サントロペと
パリ、それにフランスアルプスを舞台にしたものとなるが、
まだ完成されてはいないそうだ。しかし、撮影は来年3月に
開始され、2005年11月の公開が計画されている。また監督に
は、前作を手掛けたF・ゲイリー・グレイが一番手として交
渉されている模様だ。因に、セロンは、同じくパラマウント
製作の“Aeon Flux”の撮影中に首を負傷して、8月31日以
来撮影を中断していたが、9月27日に復帰し、以後の撮影は
滞りなく行われているようだ。
 そのシャーリズ・セロンに、『モンスター』でオスカー獲
得という快挙を成し遂げたメディア8では、次なる商業ベー
スの作品として、コミックブックライターで小説家、ゲーム
ライターでもあるというゲイリー・ウィッターの脚本による
“Reaper”の製作を進めることを発表した。この作品は、ウ
ィッターの書き下ろしで、内容は『ブレード・ランナー』的
なスタイリッシュアクション。ヴァージルという名の私立探
偵が、ディーリアという美しくて神秘的な依頼人に雇われ、
生と死、正と邪が混ざりあう幻想的な世界に迷い込んで行く
という物語だそうで、この通り映画化されたら、かなりのも
のになりそうだ。スタッフ、キャストの発表はないが、来年
2月の撮影開始に向けて準備が進められる。
        *         *
 最後に、1978年から87年に掛けて製作された4本の『スー
パーマン』映画や、『ある日どこかで』などに主演したクリ
ストファー・リーヴの訃報が伝えられた。それまでほとんど
無名だった青年が一躍大スターになり、その後の事故で全身
麻痺になりながらも、アカデミー賞受賞式に登場するなど、
その生き続ける姿で人々に勇気を与えてくれたリーヴだった
が、10月9日に心臓発作を起こして昏睡状態となり、そのま
ま10月10日に妻と三人の子供、それに両親に看取られての最
期だったということだ。
 “Superman”については、ちょうど新作の復活編の準備が
進んでいるときでもあり、何とか新作に登場して欲しいとい
う期待もあったが、先日亡くなった“King Kong”のフェイ
・レイと同様、それは叶わぬことになってしまったようだ。
2人とも復活の開始を見届けての死去のようにも見えるし、
特にリーヴには、彼の事故のせいで他の俳優がやりたがらな
いなどの発言もあったことも思うと、切ない気持ちで一杯に
なる。
 ご冥福をお祈りしたい。

10月15日(金)
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