ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ウォルター少年と…、風の痛み、バレエ・カンパニー、ワイルド・レンジ、花咲ける騎士団、シュレック2、セイブ・ザ・W、機関車先生
                           
『機関車先生』                    
伊集院静の柴田錬三郎賞受賞作の映画化。同じ原作からは、
1997年にアニメーションによる映画化があるが、今回は、坂
口憲二の主演(映画では初だそうだ)、『ヴァイヴレータ』
の廣木隆一監督による実写映画化。           
瀬戸内海に浮かぶ小さな島の小学校を舞台に、臨時教員とし
てやってきた口の利けない青年教師と、教え子の小学生や漁
民中心の島民たちとの交流を描く。実は、その島は主人公の
母親の故郷であり、そこにはいろいろな確執もある。   
そして主人公の口が利けないのは、事故による後天的なもの
であり、彼はその小学校を最後に教職を止めようと考えてい
た。そんな教師と、子供たちと、島民の成長も描かれる。 
物語の舞台というか、ロケ地に使われている本島は香川県丸
亀市にあるが、この丸亀には家内の実家があり、以前は毎年
のように夏休みに帰省し、本島にも何度か海水浴に行ったこ
とがある。実際のロケの場所は知らないが、海の風景には懐
かしいものがあった。                 
設定が昭和30年代ということで、海岸の護岸工事などは違う
かなと思うものもあるが、その再現は概ね良くやっている。
僕はその時代背景にもノスタルジーを感じてしまう訳で、映
画全体の雰囲気が、僕には懐かしさでいっぱいという感じの
作品だった。                     
前作で大人の男女を描いた廣木監督からは、かなり趣の違っ
た作品だが、描かれている子供たちの自然体の演技は、学芸
会的な子役の演技の多い日本映画の中では良くできている方
に思えた。                      
大人の俳優は、堺正章、倍賞美津子、大塚寧々、伊武雅刀な
ど、イメージそのままの配役で、演技云々より安心感があっ
た。それと、場所を特定しない不思議な方言のせりふも、逆
に違和感がなくて、良い感じだった。          
基本的には泣かせる感動作だろうが、敢えてそういう手法を
取っていないのは見ていて気持ちが良かった。上映時間2時
間3分は少し長めだが、緩急のバランスが良いためか、長さ
が気になることはなかった。              

04月30日(金)
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