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On the Production
by 井口健二
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■第61回
島を描く“Krakatoa”という計画が発表された。この噴火で
は、その後3年にわたって世界中が冷害に見舞われ、海洋大
国だったオランダ王国の没落や、イスラム教の台頭などの切
っ掛けになったという説もあるが、今回の映画化ではそれら
の歴史的事実も含めて、『タイタニック』のような冒険とラ
ヴロマンスを絡めた作品にするということだ。そしてその脚
本を、1998年公開のジョー・ダンテ監督作品『スモール・ソ
ルジャーズ』や、アーシュラ・K・ルグイン原作のテレビシ
リーズ“Earthsea”などを手掛けるギャヴィン・スコットが
担当することも発表されている。因に、同噴火を題材にした
作品では、1969年にシネラマで『ジャワの東』が製作されて
いるが、実は島はジャワの西に位置していたそうで、今回の
映画化ではその誤りも正したいそうだ。
ロビン・ウィリアムスの話題で、しばらく続いていたシリ
アス路線からコメディに復帰する計画が発表された。作品の
題名は、“The Big White”。内容はアラスカで旅行会社を
営む男が、ごみ箱の中に冷凍された死体を発見し、それを行
方不明の兄の遺体に仕立てて生命保険をせしめようとすると
いう、かなりダークなコメディ。これを昨年『アリ・G』が
公開されたマーク・マイロッド監督で映画化するものだ。そ
してこの計画に、ホリー・ハンター、ジェームズ・ウッズ、
ジョヴァンニ・リビシ、アリスン・ローマン、ティム・ブレ
イク・ネルスンらの共演が発表されている。なお製作は、イ
ギリスとドイツの資本参加によりインディーで行われるが、
ウィリアムスは元々アーチザンで計画されていた当初から関
わり、同社が断念した後も計画を見守っていたそうだ。
* *
最後に、映画紹介の方でも触れた話題で、嘘か誠かクェン
ティン・タランティーノが、“Kill Bill vol.3”の構想を
発表している。
それによると、“vol.3”は、“vol.1”の巻頭で殺される
ヴァーニタ・グリーンの娘ニッキーを主人公にしたもので、
ジュリー・ドレフュスが演じたソフィー・フェイタルが手引
きして、ニッキーにザ・ブライドへの復讐を遂げさせるべく
育て上げるというもの。確かに“vol.1”で、ザ・ブライド
はヴァニータを倒した後、ニッキーに向かって「大きくなっ
たら倒しにおいで」と話しており、物語はそれを起点に始め
られるということのようだ。
ただし、監督の構想でニッキー役は、“vol.1”に出演し
たアムブロサ・ケリーに演じてもらいたいのだそうで、その
ためには、彼女が大人になる10年か15年先まで実現はできな
いとのこと。しかしその間にも撮影は続けて、彼女の成長物
語にしたいということだ。
時期的に言って、エイプリルフール向けの発言という感じ
がしないでもないが、このような遠大な計画は映画監督には
夢の一つであるような気もするし、今のタランティーノなら
実現できる可能性はある。とは言え、10〜15年も一つの役で
縛るのは、特に相手が子役では、その間の精神的なケアも必
要になると思われるし、これは大変な事業になりそうだ。
04月15日(木)
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