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On the Production
by 井口健二
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■第14回+スパイダーマン
<5月11日封切り>
『スパイダーマン』“Spider-Man”
前回記者会見を報告した作品が、ちょうど2週間遅れて、
ようやく本編の試写が行われた。今回はこの作品について、
ちょっと長めに書かせてもらいたい。
まず本編を見た感想はというと、大体予想通りというか、
良い意味で全く期待を裏切られなかった。正直言って僕は、
期待も込めてかなり高いところに予想を置いていたのだが、
その予想が全く裏切られなかったということだ。
中でもコミックスで描かれた華麗なスパイダーアクション
を、本当に見事に実写(もちろんVFXではあるけれども)
映像に移し変えているのには感心した。特にこの物語では、
ヒーローは空を飛ぶのではなく、ビルの間を蜘蛛の糸を繰り
出しながらブランコの要領で渡って行く訳だが、そのスピー
ド感が見事に描かれている。
基本的なアクションはこれだけなのだが、これを手を変え
品を変え、背景を変え小道具を変え、写し方を変えて全く飽
きさせないのは見事なものだ。まあ原作もこれだけで40年間
やっているのだから、そこにもいろいろなノウハウはあるの
だろうし、映画はそれを見事に映像化しているということか
もしれないが、とにかく満足できる描き方だった。
それから生身の若者がスーパーヒーローになって仕舞うこ
との悩みや、真のヒーローに目覚めるまでの過程も、そつな
くそして的確に描かれていて、納得して観ていられた。この
辺が独り善がりになっていないところも素晴らしい。そして
この悩めるヒーローを、『サイダーハウス・ルール』のトビ
ー・マクガイアが見事に演じている。『サイダー…』でも主
人公の若者は自分自身の存在の意味に悩み続けるのだが、そ
のイメージが今回の作品でも見事に活かされている。
この他のウィレム・デフォー、キルスティン・ダンスト、
クリフ・ロバートスンらのキャスティングも、決して大げさ
に演じることもなく素晴らしかった。特にデフォーは、敵役
のシーンでも自ら仮面とアーマーを付けて演技しており、ま
た2重人格の演技もさすがという感じがした。
またヒロイン役のダンストは、94年の『インタビュー・ウ
イズ・ヴァンパイア』から『ジュマンジ』、『スモール・ソ
ルジャーズ』、それに“The Crow: Salvation”とジャンル
クイーンの座を着実に登ってきている感じだが、94年製作の
『新スター・トレック』の最終シーズンにも12歳でゲスト出
演している彼女の存在感が良い雰囲気を出している。
それから『まごころを君に』でオスカーを受賞したロバー
トスンに、人が変って行くことについて語られては…。有名
な‘With great power comes great responsibility’の
台詞も決まっていた。
普通の演技の中から一気にスーパーアクションに切り替わ
って行く、そのギャップみたいなものが、特にこの原作の映
画化には最適の構成だったと言える。この映画の成功は、そ
の構成を編み出した脚本デイヴィッド・コープと、監督サム
・ライミの勝利ともいえるだろう。
それからエンディングには、最近の映画らしくラップやハ
ードロックの音楽が添えられているのだが、最後の最後、一
般公開ならほとんどの観客は席を立った後ぐらいに、ファン
には堪らないプレゼントがある。アメリカでは当然大喝采に
なるところだろうし、僕も思わず拍手をしてしまった。最後
まで絶対に席を立たないように。
05月01日(水)
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