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On the Production
by 井口健二
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■アンナ・カリーナ(いつくしみ、グッド・B、さらばわが愛、ひまわり、許された子ども、今宵、鵞鳥湖、ランブル、バナナP、燕)pandemic映画
やってくる。そこで故郷に帰る道も失ったまま名前を変え、
学歴を詐称して生き続けたが…。ふんだんに実るバナナだけ
が心の慰みと言える悲しい人生の物語だ。日本軍兵士は敗戦
しても故郷が残ったが、国民党の兵士には故郷に帰る術も奪
われた。況してや身分を偽る主人公には故郷を求めることも
できなくなる。僕には今まで想像もしたこともない物語だっ
た。これをじっくりとした演出で克明に描いて行く。出演は
後に2010年11月紹介『モンガに散る』などの監督になるニウ
・チェンザーと、1997年の三池崇史監督『極道黒社会』に出
ていたというチャン・シー。4月18日−6月12日に新宿K's
cinemaで開催「台湾巨匠傑作選」の中心作として上映。)

『燕Yan』
(タレント本などの編集ライター鷲頭紀子の脚本を、2019年
12月22日題名紹介『サヨナラまでの30分』などの撮影を手掛
けた今村圭佑の監督デビューで映画化した作品。日本と台湾
を舞台に、幼い頃に日本に置き去りにされた若者と台湾人の
母親の確執が描かれる。母親は日本に居場所がなくて兄だけ
を連れて台湾に帰ったというのだが、その経緯がどうも判ら
ない。主人公の若者には日本人の実父とその妻の継母がいる
のだが、この実父と台湾人の母親の関係は妾だったのかな。
それにしても幼い次男だけを置き去りにするという理由付は
ちゃんとして貰わないと、主人公の怒りは理解を通り越して
母親の所業に呆れるしかなくなる。目先の流れだけを追って
本来の物語が見失われてしまったような感じの作品だ。出演
は水間ロン、山中崇、テイ龍進。他に田中要次、平田満、一
青窈らが脇を固めている。公開は6月5日より、東京は新宿
シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
        *         *
 全世界的にCOVID-19(新型コロナウイルス)が蔓延する中、
Netflix ではパンデミック映画の特集配信も始まったようだ
が、アメリカのサイトでは‘7 best and 7 worst pandemic
movies’という記事も紹介されていた。
 そこでまず‘7 best’に挙げられていたのは
『コンテイジョン』(2011年10月紹介)
『アウトブレイク』(1995年)
『28日後...』(2003年6月紹介)
『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年7月紹介)
『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)
『ゾンビランド』(2010年5月紹介)
『12モンキーズ』(1996年)
 この内の1番目と2番目の作品は間違いなくウイルスの蔓
延が描かれたものだが、それ以下の6番目まではどちらかと
いうとゾンビ物のイメージが強い。そして7番目はタイムト
ラヴェルが主題でこれも何かなあという感じがした。
 因に‘7 worst’は
“Resident Evil: Apocalypse”
“Cabin Fever”
“Survival of the Dead”
“Carriers”
“Nightmare City”
“Zombi 2”
“Pride and Prejudice and Zombies”
だそうで、日本未公開の作品もあるので原題のみにするが、
こちらも何か本質からずれている感じがしたものだ。
 一方、アメリカの映画データベース(IMDb)の投票サイトに
は‘Most Dangerous Virus’というテーマで35作品が候補と
して挙げられており、今日現在では
『コンテイジョン』(2011年10月紹介)
『28日後...』(2003年6月紹介)
『バイオハザード』(2002年)
『アイ・アム・レジェンド』(2007年12月紹介)
『ワールド・ウォーZ』(2013年7月紹介)
『12モンキーズ』(1996年)
『アウトブレイク』(1995年)
が上位になっているものだが、この35本の中に何と小松左京
原作の『復活の日』がノミネートされていた。
 深作欣二監督、草刈正雄主演によるこの作品は、海外では
“Virus”“Day of Resurrection”などの題名で上映された
ものだが、実は原作初版の発行日が1964年。つまり前回東京
オリンピックの年で何となく因縁を感じる。
 さらに映画化の公開は1980年。この年にはモスクワオリン
ピックが行われたが、ソ連のアフガニスタン侵攻に反対した

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03月29日(日)
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