ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■剣の舞 我が心の旋律、悪人伝、ディヴァイン・フューリー 使者、タッチ・ミー・ノット ローラと秘密のカウンセリング
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『剣の舞 我が心の旋律』“Tanets s sablyami”
旧ソ連を代表する作曲家アラム・ハチャトゥリアンが、彼の
代名詞とも言える舞曲「剣の舞」を作曲した際のエピソード
に基づく作品。
物語の背景は1942年。第2次世界大戦下の戦火を逃れるため
レニングラード国立オペラ・バレエ劇団はウラル山脈の麓の
工業都市ペルミ(当時の呼称はモロトフ)市に疎開していた。
そこで劇団員たちは2週間後に初演が迫るハチャトゥリアン
の新作バレエ「ガイーヌ」の練習に余念がなかった。
その練習の場には作曲家も毎日顔を出すが、振付師からは細
かな修正が次々に出され、彼の精神を圧迫し始める。そのた
めトラブルを起こした作曲家の許にはショスタコーヴィチら
が訪れ、労を労ってくれていたが…。
ところがそのリハーサルの場にさらにモスクワから文化省の
役人が乗り込んでくる。許より共産党政権下の公演は文化省
の承認が必要であり、劇団はその許可は受けていたのだが、
役人は様々な難癖をつけ、要求もし始める。そこには作曲家
とは旧知の役人の秘めた思惑もあった。
一方、作曲家にとってこの作品はアララト山の麓でトルコ軍
の侵攻に追われた故郷のアルメニアを想うものでもあった。
しかしそんなバックグランドは作曲家の共産党への忠誠に疑
いを持たせるものであり、役人はその点を突こうとする。
そして役人が出した最後の要求は、クライマックスの場面に
勇壮な舞曲を付け加えることだった。しかもその作曲に掛け
られる時間は一晩しかなかった。
主演は、ロシアの舞台やテレビで活躍してるアンバルツム・
カバニャン。役人役でアメリカのテレビドラマ『24』などに
出演のアレクサンドル・クズネツォフが登場している。
脚本と監督はウズベキスタン出身のユスプ・ラジコフ。本作
の制作会社が行ったハチャトゥリアン物語の脚本コンテスト
に優勝して映画化に漕ぎ着けたものだが、アルメニアでの制
作中に当地で政変が起こるなど撮影も大変だったようだ。
名曲「剣の舞」が8時間で作曲されたというのは事実のよう
だが、その経緯などは明確ではないようで、役人などの登場
人物は創作だそうだ。しかし当時のソ連なら如何にも有りそ
うな話だし、ロシアの観客もそれで納得したのだろう。
しかも作曲家の故郷であるアルメニアの歴史や当時置かれて
いた状況などは僕には知れないことだったし、それらの事柄
が学べた点でも有り難い作品だったと言える。それは旧ソ連
時代では決して語れなかった内容で、その点も面白いと言え
る作品だった。
公開は7月31日より、東京は新宿武蔵野館他にて全国順次ロ
ードショウとなる。

『悪人伝』“악인전”
2017年7月2日紹介『新感染 ファイナル・エクスプレス』
で全世界的に大ブレイクし、マーヴェル・シネマティック・
ユニヴァース(MCU)の新作にも出演が発表されているマ・
ドンソクが強面のヤクザの組長に扮し、凶悪な連続殺人犯と
対決するヴァイオレンスアクション作品。
映画の始まりは2005年7月。交通量の少ない裏道で追突事故
が発生。そこで白い乗用車に追突された運転者は車を降りて
状況を検分しようとするが、追突した車から降りてきた若者
がいきなり運転者をめった刺しにし、被害者は死亡、現場は
そのまま放置される。
その事件にはソウル警察の一分署が捜査に当たるが、事件は
単純な強盗殺人として処理されそうになる。ところが現場に
来た熱血刑事がある疑問を感じる。それは先に発生した2つ

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05月31日(日)
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