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On the Production
by 井口健二
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■虹色の朝、シライサン(オルジャス、シュヴァルの理想宮、シティーH、エンド・オブ・S、アニエス/ヴァルダ、ある女優の、ドルフィン・M)
から2017年製作の前作までの63年にも及ぶ監督の業績が凝縮
されているものだ。その中ではいろいろな撮影のエピソード
も語られるが、中でもジャック・ドゥミについて語る時のき
らきらする表情が微笑ましかった。後の2本については、監
督デビュー作は不思議なムードもあるラヴストーリーだが、
ドキュメンタリーな部分もある。そして最初のドキュメンタ
リーは、最近の観察映画に通じるもので、その嚆矢とも言え
る作品だった。公開は12月21日より、東京は渋谷のシアター
・イメージフォーラム他で全国順次ロードショウ。)

『ある女優の不在』“3 Faces/Se rokh – سه رخ”
(2012年6月紹介『これは映画ではない』などのジャファル
・パナヒ製作、脚本、監督で、2018年カンヌ国際映画祭コン
ペティション部門にて脚本賞を受賞した作品。始まりは少女
の自撮り映像。それはロープを首に巻き、落下するところで
途切れる。その映像が人気女優の許に届けられ、女優を目指
して大学にも合格したが、家族に反対された、と言う少女の
証言に動転した女優はパナヒ監督運転の車で少女の村に向か
うが…。そこでは裏表の激しい村人の応対に戸惑い、少女が
3日間行方不明と判る。さらに村では革命前の人気女優が村
八分に遭っていた。そんな3世代の女優の明暗が描かれる。
出演はいずれも本人役で登場のベーナーズ・ジャファリ、パ
ナヒ監督とマルズィエ・レザイ。いろいろトリッキーな作品
だが、最大は2010年から20年間映画制作禁止中の監督の作品
ということだ。公開は12月13日より、東京はヒューマントラ
ストシネマ渋谷他で全国順次ロードショウ。)

『ドルフィン・マン
  ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』“Dolphin Man”
(2010年5月紹介『グラン・ブルー』の基となったフランス
人ダイヴァーの生涯を追ったドキュメンタリー。1927年に中
国上海で生まれたマイヨールは佐賀県唐津で海女の仕事を見
て海に興味を持つ。その後の戦時中は帰国し海を離れるが、
戦後にアメリカに渡り、マイアミの水族館でイルカの調教を
開始、イルカと共に深く長く潜ることを学び始める。そして
ダイヴィング記録に挑み、そのためヨガや禅なども学んで、
遂に1976年に人類史上初めて素潜りで水深100mの記録を達成
する。そこまでの物語がリュック・ベッソンの映画で描かれ
るが、その世界的な大ヒットがモデルであったマイヨール自
身を苦しめる。本作では日本人も含む親交を深めた人たちや
家族へのインタヴューと共に、当時の記録映像もふんだんに
映し出される。そこには悲しい面もあるが…、これが偉業を
成し遂げた男の真の姿だ。公開は11月29日より、東京は新宿
ピカデリー他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。

10月13日(日)
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