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On the Production
by 井口健二
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■超・少年探偵団NEO、キューブリック、かぞくあわせ、夏少女(風水師、エンテベ、アダムズ、ブラインド、向こうの家、駅までの道、レディM)
(1976年に起きたエールフランス機ハイジャック事件を描く
作品。この事件では7日目にイスラエル軍による奇襲作戦が
実行され、突入部隊の発砲で死んだ3人と病院に搬送中だっ
た1人を除く乗客102名が解放されるという成功を収めたも
ので、その顛末はすでにユダヤ系の映画人によって何度も映
画化されている。それに対して本作はハイジャックに加担し
たドイツ人にも焦点を当て、新たに判明した事実なども踏ま
えて映画化している。特に突入部隊で唯一戦死し英雄とされ
た中尉の行動が、実は命令無視の無謀なものだったという経
緯は論議を呼ぶもののようだ。そんな真実を描いた作品とさ
れる。出演は2016年6月紹介『コロニア』などのダニエル・
ブリュールと、2019年5月紹介『荒野の誓い』などのロザム
ンド・パイク。監督は2011年11月紹介『エリート・スクワッ
ド』などのジョゼ・パジーリャ。公開は10月4日より、東京
はTOHOシネマズシャンテ他で全国順次ロードショウ。)

『アダムズ・アップル』“Adams æbler”
(2016年12月紹介『ドクター・ストレンジ』などのマッツ・
ミケルセンが2005年に主演したデンマーク・ドイツの合作作
品。仮釈放されたスキンヘッドの男が更生施設を兼ねた田舎
の教会へ送り込まれる。ネオナチ思想で反抗的な男は指導役
の聖職者から目標を問われ「庭のリンゴを収穫してアップル
ケーキを作る」と適当な返事をするが…。謎めいた出来事が
次々起き、男の信念を揺り動かしてゆく。監督は2017年11月
紹介『ダークタワー』などの脚本家アナス・トマス・イェン
センが自作を映画化。共演は2011年7月紹介『デビルクエス
ト』などのウルリッヒ・トムセン。映画の中で起きるいろい
ろな出来事は聖書由来かとも思えるが、かと言って宗教礼賛
というものでもなく、ブラックなユーモアに彩られた、正に
奇妙な味の作品と言えるものだ。本作紹介のために配給会社
まで立ち上げた関係者に感謝したい。公開は10月19日より、
東京は新宿シネマカリテにてロードショウ。)

『ブラインドスポッティング』“Blindspotting”
(スポークン・ワード・アーティストのラファエル・カザル
と、ラッパーで俳優のダビード・ディグスが製作・脚本・主
演を務めた社会の底辺で生きる若者を描いた作品。主人公は
保護観察期間があと3日で終わる黒人青年。そんな主人公が
逃げる黒人男性を背後から射殺した白人警官を目撃する。し
かし期間中は一切の犯罪行為に関ることを禁じられている主
人公はそれを黙っていたが…。幼馴染みで一緒に働いている
問題児の白人青年が拳銃やドラッグなど様々なものを彼の周
囲に持ち込んでくる。そして主人公の心の動揺が2人の関係
に影を落とし始める。監督には短編映画作家のカルロス・ロ
ペス・エストラーダが起用され、2人の心に沿った演出が行
われている。作品は2018年サンダンス映画祭のオープニング
を飾り、オバマ前大統領が同年度のお気に入り映画の1本に
選出したそうだ。公開は8月30日より、東京は新宿武蔵野館
他で全国順次ロードショウ。)

『向こうの家』
(東京藝術大学大学院で黒沢清や諏訪敦彦に学んだ西川達郎
監督の長編デビュー作。主人公はごく普通の幸せな家庭で育
ってきたと思っていた高校2年生。そんな彼の所属していた
釣り部が廃部になり、家でごろごろしていたところで父親に
仕事を頼まれる。それは父親の愛人の家に行って彼女を家か
ら追い出す、というものだったが…。出演は2018年1月21日
題名紹介『神さまの轍』で主人公の少年時代を演じた望月歩
と、2018年『娼年』が話題の大谷麻衣。他に2018年8月26日
題名紹介『心魔師』などの生津徹。さらにでんでんらが脇を
固めている。物語は監督が先に発表した短編に基づくようだ
が、脚本は両作とも川原杏奈という女性が手掛けている。そ
れはかなり特異なシチュエーションを描いて、それ自体は面
白いのだが。何か物足りないというか、もっと人間を描き込
んで欲しい感じがした。公開は10月、東京は渋谷のシアター

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07月28日(日)
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