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On the Production
by 井口健二
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■ダルライザー、まく子、マイ・ブックS(多十郎、ビール・S、イップ・マン外伝、12か月の、盆唄、眠る村、天国でまた、ウトヤ、バーニング)
クレジットでは製作のみで出演はない(?)ものだが、すでに
“葉問4”は進んでいるようだ。公開は3月9日より、東京
は新宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)
『12か月の未来図』“Les grands esprits”
(2018年6月17日題名紹介『オーケストラ・クラス』でも扱
われたフランスの学校教育で、一流の教師が底辺の学校で授
業を行う姿を描いた作品。主人公は一流校の教師だったが、
パーティの席でふと口にしたことが教育省のトップの耳に届
き、一流の教師が困難校の授業を支援すべしという持論を実
践する羽目に陥る。こうして郊外の貧困層や移民の子供が通
う学校に赴任するが…。展開は想像できるものだが、そこに
散りばめられたユーモアや実践的アイデアが光る作品になっ
ている。脚本と監督は元ジャーナリストのオリヴィエ・アヤ
シュ=ヴィダル。彼は2年の歳月を掛けて取材し脚本を書き
上げたとのことだ。出演は2012年9月紹介『最初の人間』な
どのドゥニ・ポダリデスと、2018年11月11日題名紹介『ジュ
リアン』などのレア・ドリュッケール。また監督が取材で出
逢った生徒たちが自身の役で出演している。公開は4月6日
より、東京は岩波ホール他で全国順次ロードショウ。)
『盆唄』
(2007年2月紹介『恋しくて』などの中江裕司監督が、3/11
以降途絶えていた福島県双葉町の盆踊り「やぐらの競演」の
復活までを追ったドキュメンタリー。中江監督は2003年6月
紹介『白百合クラブ 東京へ行く』などドキュメンタリーで
も手腕を見せるもので、本作でもそんな力量が活かされる。
そして被写体は富山やハワイ・オアフ島にまで及び、避難生
活に移住や移民の苦難が重ねられて、それは驚きの作品にも
なっていた。その一方で本作には、すでに幾つかの作品でも
取り上げられた双葉町の桜の満開の様子も登場し、その映像
には自分の故郷を観ているような感慨も生じてしまった。そ
れは何度も見てきたせいもあるかも知れないが、それがこの
後もずっと続いて行くことにも心が揺らいだ。中江監督の捉
え方には今まで自分が気付かなかった新たな面も提示され、
再度気持ちが引き締まる想いもした。公開は2月15日より、
東京はテアトル新宿他で全国順次ロードショウ。)
『眠る村』
(2013年1月紹介『約束』、2015年『ふたりの死刑囚』に続
き、東海テレビが追ってきた「名張毒ぶどう酒事件」のドキ
ュメンタリー。2019年の現在は第10次再審請求で異議申し立
てが審理中の事件だが、物証なき裁判で戦後唯一、一審無罪
から二審で逆転死刑判決となった奥西死刑囚は、2015年に獄
死。再審請求はただ1人の肉親である実妹の名で行われてい
るものだ。実際に過去の2作を観ても、裁判所が何故ここま
で自白に固執するのかも判らないが、確か前作では棄却した
判事の個人の問題も指摘していたのに対して、本作では原点
に戻って事件の全容が再検討される。そこで生じる疑問は、
奥西死刑囚が犯人でないなら真犯人は誰か、になるが。実は
本作ではほぼ1人に特定して追及が行われている。それは当
然本人は否定しているものだが、犯罪自体は時効が成立して
おり、今後の取材にも興味が繋がる。公開は2月2日より、
東京はポレポレ東中野他で全国順次ロードショウ。)
『天国でまた会おう』“Au revoir là-haut”
(2011年発表の『その女アレックス』で多数の受賞に輝いた
フランスの推理作家ピエール・ルメートルが2013年に発表し
たゴンクール賞受賞作を、本作主演のアルベール・デュポン
テルとの共同脚本、さらにデュポンテルの監督で映画化した
作品。第1次大戦で負傷した才能豊かな男性が父親との確執
から戦死を偽装。しかし負傷に追いやった元上官の悪事を暴
くため、偽装に加担した元戦友と共に大掛かりな詐欺を目論
む。物語は元戦友への取り調べの形で進められるが、回想で
時間軸が前後する割には判り易く展開される。そして見事な
復讐劇が描かれるものだ。共演はカンヌ映画祭のグランプリ
作“BPM”に主演したナウエル・ペレーズ・ビスカヤート。
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01月13日(日)
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