ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459728hit]
■マイル22、クマ・エロヒーム(ねことじいちゃん、世界でいちばん悲しい、バジュランギ、ホイットニー、あまのがわ、ひかりの歌、ともしび)
(2016年7月紹介『ミリキタニの記憶』の編集などを手掛け
た杉田協士監督が、歌人の枡野浩一と共催した映画化を前提
とする短歌コンテストに応募された1200首の中から選ばれた
4篇を原作とするオムニバス作品。都内や近郊のそれぞれの
環境の中で暮らす4人の女性が、旅に出てしまう同僚や閉店
する勤務先の仲間、家族の他界や行方の判らない夫などを思
いながら暮らす姿が描かれる。俳句は最近テレビ番組などで
も目にするが短歌というのはなかなか判らなくて、印象とし
ては俵万智くらいしかなかったが、今回選ばれたという4篇
を見るとその印象とあまり変わらないようだ。元々俳句には
一瞬を切り取るような鋭さがあるが、短歌はドラマのようで
その点では映像化もしやすいだろう。ただし物語は直接短歌
を映像化したものではないが、最後にその場面になる構成は
了解できた。公開は2019年1月12日より、東京は渋谷ユーロ
スペース他で全国順次ロードショウ。)
『ともしび』“Hannah”
(2017年12月17日題名紹介『ベロニカとの記憶』などのシャ
ーロット・ランプリングが、2017年ヴェネチア国際映画祭で
主演女優賞に輝いた作品。登場するのは一人暮らしの初老の
女性。演劇のワークショップやプールにも通い、それなりの
日々の生活を送っているように見えるが、その心の空洞は見
まごうことなく描き出されている。そして息子からは孫の誕
生会への出席を拒否されたり、その空洞の謎が徐々に解き明
かされて行く。映画はランプリングの貌のアップの多用や、
決して若くはない裸身などで、正に一人芝居と言っても良い
ような構成になっている。脚本と監督は1982年イタリア出身
のアンドレア・パラオロ。1946年生まれのランプリングとは
親子より歳の離れた関係だが、見事にその内面を描き切って
いるとも言えそうだ。共演は2010年9月紹介『Ricky』など
のアンドレ・ウィルム。公開は2019年2月2日より、東京は
シネスイッチ銀座他で全国順次ロードショウ。)
を観たが、全部は紹介できなかった。申し訳ない。
12月09日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る