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On the Production
by 井口健二
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■ジョニー・E、ヘレディタリー(バグダッド、おとなの、家族のはなし、山中傳奇、快楽の、世界で一、ハード・C、走れ!T、不滅の、夜明け)
んな見事な作品は久し振りだ。公開は10月20日より、東京は
新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)

『ハード・コア』
(別名義で発表された『オールドボーイ』が韓国で映画化さ
れた狩撫麻礼(原作)、『デメキング』などが映画化された
いましろたかし(画)で1991−93年に発表のコミックスを、
山下敦弘監督×山田孝之主演で映画化した作品。右翼団体の
構成員の兄と、商社マンの弟、それに知恵遅れと思われる男
性と謎のロボットが加わって、かなり過激な物語が展開され
る。共演は佐藤健、荒川良々。他に石橋けい、康すおん、松
たか子らが脇を固めている。ロボットは出てくるがSF的に
特筆すべきものはない。正直なところはかなり優秀で多機能
なロボットなので、もっと活躍があっても良いと思ったが、
恐らく原作者も本作の監督もそこへの興味はなかったのだろ
う。それより本作が描きたいのはダメ男たちの生態で、その
点は山下監督がしっかりと描いている。それが映画ファンの
観たかったものという作品だ。公開は11月23日より、東京は
新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『走れ!T校バスケット部』
(栃木県の高校を舞台にスポーツに賭ける若者たちを描いた
青春ドラマ。主人公は幼くしてバスケットボールを始め、中
学時代の活躍で名門校に入学。しかし部活で苛めに遭ってい
た同級生を庇ったことから自分が標的にされ、自主退学に至
る。そして部活はしないと決めT校に転入するが、そこには
弱小のバスケットボール部があり、その女子マネージャーが
彼に気付いてしまう。こうしていくつかの出来事の結果、主
人公は再び面白さに気付いて行くが…。全国大会を目指す彼
の前に名門校が立ちはだかる。こう書くとただのスポーツも
のに見えるが、内容には苛めを含む様々な出来事が織り込ま
れ、正に青春ドラマと呼べる物語が展開されていた。出演は
志尊淳、佐野勇斗、早見あかり。他に千葉雄大、YOU、竹中
直人、椎名桔平らが脇を固めている。監督は2018年7月15日
題名紹介『青夏』などの古澤健。公開は11月3日より、東京
は新宿バルト9他で全国ロードショウ。)

『不滅の女』“L'Immortelle”
(『快楽の漸進的横滑り』と共に回顧上映されるアラン・ロ
ブ=グリエ監督の1963年デビュー作品。舞台はトルコのイス
タンブール。その不思議な街並みや城塞の廃墟などを背景に
1人の女の姿に惑わされる男の彷徨が描かれる。と言っても
物語に一貫性はなく、様々な仕掛けの中で、男の幻想とも取
れる物語が展開される。作品は1962年ルイ・デリュック賞を
受賞しているが、当時も賛否はかなり分れたようだ。作家性
の高い作品で、正直何が言いたいのかも判らないが、それは
それで評価しても良いと思える作品ではある。出演はフラン
ソワーズ・ブリオン、ジャック・ドニオル=バルクローズ、
カトリーヌ・ロブ=グリエ(監督夫人)。公開は11月下旬よ
り、東京は渋谷シアター・イメージフォーラム他にて全国順
次上映。なお回顧上映では他に、『嘘をつく男』(1968年)、
『エデン、その後』(1970年)、『囚われの美女』(1983年)が
上映される。)

『夜明け』
(是枝裕和、西川美和主宰の制作者集団「分福」に所属し、
両監督の作品で助手を務めてきた広瀬奈々子が、主演に柳楽
優弥を迎えた監督デビュー作。夜明けの橋に佇む若者。やが
て朝になり、若者は通り掛かった木工所の経営者に拾われ、
その仕事を手伝うようになる。しかし若者は自身について語
ろうとしない。そして経営者にも語れない過去があった。家
族を捨ててきた若者と、家族を作ることに失敗した経営者。
そんな2人の人生がもつれ合う。共演は小林薫。他に共に元
ミュージシャンのYOUNG DAISと鈴木常吉。2017年10月8日題
名紹介『嘘八百』などの堀内敬子らが脇を固めている。物語
の人物配置はかなり巧みで、無理のない現実的な展開が作品
を完成されたものにしている。ただし結末には異論を挟む人
も出てきそうだが、僕はこの結末が余韻もあり好ましく感じ

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10月07日(日)
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