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On the Production
by 井口健二
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■ドクター・ストレンジ、モンスターストライク、クリミナル 2人の記憶を持つ男
『傷だらけの悪魔』
(2011年6月紹介『行け!男子高校演劇部』などの足立梨花
主演で、転校生に対する苛めを扱った作品。苛めの問題を描
いた作品の多くが苛めの手口を紹介する作品となり、諌める
べきものを助長していると思えることが度々ある。その点で
言うと本作で描かれる苛めの手口は通り一遍なものであり、
対する周囲の反応や、特に大人や教師の無責任ぶりを描いて
いるのは現実的と言えるだろう。そしてそこからの反攻が、
かなりの攻防戦を含めて小気味よく描かれた作品だ。共演は
江野沢愛美、加弥乃、岡田結実。他に川原亜矢子、宮地真緒
らが脇を固めている。因に足立の女子高生はギリだが、原作
は現在も継続中だそうで、映画も続編を狙えそうだ。公開は
2月4日より角川シネマ新宿他、全国ロードショウ。)
『レオナルド・ダ・ヴィンチ美と知の迷宮』
      “Leonardo da Vinci - Il genio a Milano”
(2013年12月紹介『ダ・ヴィンチ・デーモン』など、伝記的
な作品も何本か観ている中世イタリアの芸術家・科学者の業
績を、修復された「最後の晩餐」の4K撮影による映像をク
ライマックスとして紹介した作品。内容は、現代の研究者や
評論家、それに往時を再現した関係者へのフェイクのインタ
ヴューなどで構成され、それなりに興味深くはあるが、観る
側にもある程度の知識が要求されるかもしれない。ただ4K
撮影された「最後の晩餐」は、その損傷も克明に再現された
もので、それは製作時からダ・ヴィンチ自身も気付いていた
というから仕方ないものだったとは言え、目の当たりにする
と哀しくなるものでもあった。公開は1月28日より、東京は
シネスイッチ銀座他、全国ロードショウ。)
『NERVE《ナーヴ》世界で一番危険なゲーム』“Nerve”
(ネット上などで問題となっている危険な挑戦を映像で配信
する風潮。それをさらに参加型のゲームにしたという設定の
作品。それは視聴者と挑戦者2つのカテゴリーで募集され、
その視聴料が挑戦達成への賞金となる。危険な挑戦の類は、
2016年1月紹介『X−ミッション』などでも描かれているか
ら、本作が上記の風潮に乗ったという点では忸怩たる思いも
する。しかし本作は敢えてそこからの警鐘とも取れるものに
なっており、その点のコンセプトは納得できる作品だった。
出演は、2013年12月紹介『なんちゃって家族』などのエマ・
ロバーツ、2016年7月紹介『グランド・イリュージョン』な
どのデイヴ・フランコ、それにジュリエット・ルイス。公開
は1月6日より、全国ロードショウ。)
『0円キッチン』“Wastecooking”
(全世界で毎年廃棄される食料品の量は13億トンにもなると
言われる。それを少しでも救助しようと立ち上がった監督ら
が、大型のごみ箱を改装したキッチンを自動車に繋ぎ、ヨー
ロッパ5カ国を巡って回収した食品を調理し振舞う啓蒙活動
を行う。その様子を描いたドキュメンタリー作品。2013年に
『もったいない!』“Taste the Waste”という作品があっ
て、そこでも大型スーパーなどで廃棄される食料品を回収す
るゴミ箱ダイヴの運動が紹介されていたが、日本でもヴァラ
エティ番組『鉄腕DUSH』の中で生産者の段階で廃棄され
る食品を回収して調理するコーナーが放送されるなど、世界
的にこのような気運は高まっているようだ。公開は1月21日
より、アップリンク渋谷他、全国順次ロードショウ。)
『oasis: supersonic』“Oasis: Supersonic”
(1991年の結成で、僅か5年後の1996年に2日間で25万人を
動員するコンサートを実現したイギリスのロックバンドの、
コンサートを行うまでを描いたドキュメンタリー。因にバン
ドは2009年に解散しており、本作はその解散後にメムバーの
中心だったギャラガー兄弟らにインタヴューを行い、その内
容に合わせた映像を集めて編集されているものだ。その中に
はジャパンツアーの様子なども収められており、当時の熱狂
的な歓迎ぶりがメムバーの印象に残った思い出なども語られ
ている。正直僕には音楽のことが全く判らないが、20年前の

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12月04日(日)
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