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On the Production
by 井口健二
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■X−ミッション、ジョーのあした、Mr.ホームズ、ジプシーのとき、バナナの逆襲、いいにおいのする映画
作品を観て考えて欲しいところだ。
ただ本作では、特に第1話はその遣り口の横暴さと共に浅は
かさも露呈しているもので、それを観ながら対策を考えるの
も役に立ちそうだ。ただし、第1話では最終的に監督の母国
が国を挙げての対抗に乗り出す辺りが、今の日本に期待でき
るかどうか…。
公開は2月27日より、東京は渋谷ユーロスペースでのロード
ショウとなる。
『いいにおいのする映画』
新進気鋭の映画監督とアーティストの掛け合わせを目指して
2012年頃に始まったMOOSIC LABという企画で製作され、昨年
のイヴェント上映でグランプリ・観客賞を含む6部門を受賞
したという作品。
登場するアーティストはVampillia。その名前から予想され
るように吸血鬼の物語が展開される。そこには幼い頃に離れ
離れになった少年と少女が再会し、少年の父親がリードする
バンドに関って行く少女の姿が描かれる。
しかし予想通り少年は吸血鬼の血筋を持ち、やがて少女にも
牙をむく時が来てしまうが…というもの。まあ安易と言った
ら安易な展開だが、作品の性質上これは仕方のないところだ
ろう。
ただマニア的に言わせて貰えば、少年吸血鬼の行為を単純な
嫌悪感で描いてしまっているところが不満にはなるもので、
特に少女が受け入れてからの展開はもっと違ったものにして
欲しかったところはある。
それは少年の母親との関係も含めて、もっといろいろと描き
込んで欲しかったものだ。特に少女が母親の姿を観る切っ掛
けの部分では映画的にもっと面白い展開もあったはずで、そ
の辺はもっと期待できた。
映画界では数年前からのブームもあって、吸血鬼には様々な
ヴァリエーションが描かれているもので、そんな中で本作に
新たなものは見い出せなかった。その辺が残念にも感じられ
たものだ。
とは言え本作では6部門を受賞しているのだから、その時の
観客には受け入れられたということだ。こういう刹那的な作
品が受け入れられ易いのは理解するが、もっと深く映画を観
たい観客が居ることも考えて欲しいものだ。
公開は2月6日より、東京では19日までの期間限定で、新宿
シネマカリテにてレイトショウとなる。
01月10日(日)
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