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On the Production
by 井口健二
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■バイロケーション、祖谷物語−おくのひと−、インシディアス第2章、幕末奇譚SHINSEN5−弐−風雲伊賀越え、魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
その世界でのろい屋を営む2人の暮らす森に突然変異の大樹
が育ち始め、その幹には2人が今までに見たこともない大き
な建物が絡み付いていた。
そこでその建物の調査を始めたヨヨは人影に遭遇、その後を
追ったヨヨは閉じ込められた箱の中で不思議な光を浴びて見
知らぬ異世界に来てしまう。そこは巨大な建物が立ち並び、
魔法など誰も知らない世界だった。
しかもその世界では、魔法としか思えない異常な事態が進行
していた。それは携帯ゲームでレアカードを引き当てた人が
願いを叶えてもらえる代わりに、謎の化物に変身させられて
しまっていたのだ。
そこでヨヨは、これは自分の仕事とばかりにその事態の謎を
解き明かそうとするのだが、そこにはその世界と魔法世界の
存亡に関わる重大な秘密が隠されていた。
声優は諸星すみれ、加隈亜衣、沢城みゆき、櫻井孝宏、佐々
木りおらベテランが揃っているようだ。アニメーション製作
は、2007年から公開された『空の境界』シリーズを手掛けた
ufotable、その第5章『矛盾螺旋』を担当した平尾孝之が本
作を監督している。
ただしスタッフ欄に脚本家の名前がなく、それが何故なのか
は不明。単純には原作の通りの映画化で原作がそのまま脚本
だったとも考えられるが、それにしてはお話はかなり粗い。
例えば後半で猫が突然巨大化して空を飛び、主人公らを助け
るという展開はあまりに唐突だ。
これではご都合主義というそしりは免れないだろう。『とな
りのトトロ』のネコバスの連想かもしれないが、こうなる前
にそれなりの伏線は描かれているべきだろうと考える。
これが原作には伏線があったのだとしたら、その伏線を削除
した脚本は問題にされるべきものだ。この他にもこの映画化
には何とも唐突な展開が多く、その話の飛び方は原作の読者
ではない者には理解が難しかった。
もっとも本作の基本設定であるらしい、どう見ても幼い方が
姉という不思議な主人公姉妹の関係も映画では全く説明され
ていなかったから、これは原作の読者のみを対象とした作品
ということなのだろうか。
その原作は、ウェブの書評などでは「世界観が完璧」などと
評価されているようだが、読者ではない者が映画を観た感想
で言うと、世界観はあまり明確ではなかったように感じられ
た。もう少し観客に優しい映画にして欲しかったものだ。
公開は12月28日から、東京は新宿バルト9他、大阪は梅田ブ
ルク7他など、全国でロードショウされる。また海外での公
開もアジアを中心に各国で行われるようだ。

11月24日(日)
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