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On the Production
by 井口健二
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■マイヤーリング、ネオ・ウルトラQ、楊家将〜烈士七兄弟の伝説〜、愛しのフリーダ、ブランカニエベス
記の後もグリム童話を実に巧みに換骨奪胎した物語が展開さ
れて行く。それはかなり細部に亙って再構成されたもので、
その巧みさにも感心した。
作品はモノクロ・サイレントのスタイルで製作されている。
そのスタイルは2012年2月紹介『アーティスト』でも採用さ
れていたので目新しくはないが、先の作品がサイレント映画
の時代を描いて言わば必然だったのに対して、本作は敢えて
そのスタイルを採用しているものだ。
しかも内容はファンタシーとリアルの狭間を描いたようなも
ので、そのさじ加減が映像のスタイルと合わさって絶妙の効
果を上げていた。実際にこの物語をカラーワイドで観ること
は、今となっては想像もできない。
出演は、継母役を2002年6月紹介『天国の口、終りの楽園』
や2007年4月紹介『パンズ・ラビリンス』などのマリベル・
ベルドゥ、父親役を2012年8月紹介『キック・オーバー』な
どのダニエル・ヒメネス・カチョ、祖母役を2010年9月紹介
『シチリア!シチリア!』などのアンヘラ・モリーナ。
そして主人公はいずれも映画初出演で、5000人のオーディシ
ョンで選ばれたソフィア・オリアと、テレビやミュージカル
で活躍中のマカレナ・ガルシアが演じている。なおマカレナ
には後半に素晴らしいシーンが用意されている。
脚本と監督は、スペイン出身だがケンブリッジやソルボンヌ
の映画学科で教鞭を取っているというパブロ・ベルヘル。長
編作品は2作目ということだが、正に理性で考え出された作
品のようだ。因に監督は日本人の妻を持ち、日本のロックバ
ンドSOPHIAのPVを撮ったこともあるそうだ。
2012年6月には『スノーホワイト』と『白雪姫と鏡の女王』
を相次いで紹介したが、それから1年半、最後にもう1本、
素晴らしい作品が登場した。
公開は12月7日から、東京は新宿武蔵野館他でロードショウ
される。
11月03日(日)
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