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On the Production
by 井口健二
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■寫眞館/陽なたのアオシグレ、ゼロ・グラビティ、大英博物館 ポンペイ展、オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ、楽隊のうさぎ
しかしそこは朝練から放課後練習まで、校内で最も拘束時間
の長い部活だった。
出演する生徒たちは、全員オーデションで選ばれたそうで、
音楽経験もバラバラな子供たちが、最後は自分たちの演奏で
物語を締めくくるまで、ドキュメンタリーのような味わいで
映画は作られている。
因に映画化は、撮影地・浜松市の市民映画館シネマイーラが
中心となって企画されたもので、楽器会社のお膝元で元々学
校教育で吹奏楽が盛んという背景もあり、市民発案の企画が
実現したようだ。
また浜松市は、今年5月紹介『はじまりのみち』にも描かれ
ているように、昨年生誕100年を迎えた木下恵介監督の故郷
でもあり、そのことから機運も高まっての今回の映画化とさ
れている。
監督は、磐田市出身で2010年『ゲゲゲの女房』などの鈴木卓
爾、脚本も『ゲゲゲの女房』の大石三知子が担当している。
出演は、オーディションで選ばれた子供たちの他に、音楽教
師役で2006年4月紹介『初恋』などの宮崎将、うさぎの役は
昨年1月紹介『レンタネコ』などの山田真歩、主人公の両親
役に昨年7月紹介『かぞくのくに』などの井浦新と11月紹介
『しあわせカモン』などの鈴木砂羽。さらに徳井優らが脇を
固めている。
悪い映画とは思わないし、子供たちの成長も見事に捉えられ
ていて児童劇映画としては「文部科学省選定」の肩書きも頷
ける作品だ。ただ映画を観ていて、例えば主人公が演奏会の
メムバーから外される展開はあまりに唐突で、何か前置きが
あった方は良い感じがした。
それに肝心の「楽隊のうさぎ」の存在理由が全く映画の中で
説明されておらず、何だか呆気に取られてしまった。これは
原作を読めば判るのかもしれないが、映画は独立した作品で
あるのだから、この辺はもう少し原作を読んでいない観客も
考慮して欲しかったものだ。
公開は12月14日から、東京は渋谷ユーロ・スペース、新宿武
蔵野館、浜松シネマイーラ他で、全国順次ロードショウとな
る。また、17日から開催される今年の東京国際映画祭では、
新設の「日本映画スプラッシュ部門」でも上映される。
10月13日(日)
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