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On the Production
by 井口健二
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■僕が星になるまえに、武器人間、ウォーキング・デッド:シーズン3、ハンナ・アーレント、燦燦
ドウに飾られた純白のウェディングドレス。そして「毎日が
スタートライン」をモットーとする彼女は、「人生のラスト
パートナー」を求めて婚活を開始する。
こうして結婚相談所のカウンターに座った彼女は、意外にも
多い高齢者の登録リストを目にすることになるが…。彼女の
起こした行動は、「そんな恥ずかしいことは止めろ」という
声など、周囲に様々な波紋を広げて行くことになる。
外山監督の前作は、老老介護のかなり悲惨な結末を描いてい
たようだが、元々監督は本作のような作品を先に構想してい
たそうだ。そのリサーチを続けた中で生まれてきたのが、こ
の2作だった。
しかし監督は、まず明暗の暗の部分を描いたことで、明の部
分にはより慎重な対応が必要と思うことになる。そして高齢
者の恋愛を単なる恋愛物語や悪戯な挑戦物語ではない「命の
輝きを取り戻すための応援歌にしたい」と考えた。
こうして誕生した本作の企画は、昨年5月紹介『バルーンリ
レー』と同じSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ主催の若手
育成プログラムD-MAPのシネマプロットコンペティションに
出品され、自身の脚本、監督による映画化が実現した。
出演は、吉行和子、宝田明、山本學、それに2006年6月紹介
『フラガール』でメムバーの1人を演じ、日本映画批評家大
賞の助演女優賞を獲得した田川可奈美。さらに蜷川幸雄主宰
さいたまゴールドシアターの面々が、その他の老人クラブの
会員やお見合い相手などを演じている。
吉行が1935年、宝田が1934年、山本が1937年の生まれだそう
だから、正に等身大の演技というところかな。そんなベテラ
ン俳優たちの実に楽しそうな演技が見られるのも面白い作品
だ。
それにしても僕はこの人たちの若い頃の演技も覚えているの
だから、こっちも高齢者の仲間入り一歩手前かな。そんな高
齢の俳優たちが、意外と若々しく恋愛物語を演じてくれる。
これは確かに高齢者への「応援歌」と言える作品だ。
僕の父親はすでに他界して、母親は90歳を過ぎて最早こうい
う状況ではないが、こんな人生の応援歌がこれからの時代に
は必要なようにも感じられた。
公開は11月16日から、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町の他、全国順次で行われる。

09月29日(日)
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