ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460004hit]
■悪魔のいけにえ、ウォーム・ボディーズ、ダークスカイズ、ハートの問題、タイム スクープ ハンター、樹海のふたり、歌藝、ジンジャーの朝
中の1人に選ばれた俊英。映画は初作品になる。
因に、シリーズは2008年の新番組コンペに応募され、そこか
らシリーズ化、そして映画化に漕ぎ着けたものだ。
なお撮影は、現存する安土城址でも行われており、そこに往
時の姿がCGIで合成されている。そして歴史の謎とされる城
が炎上する姿も再現された。またエンディングロールに添え
られた映像も楽しめた。
『樹海のふたり』
ドキュメンタリー作家として数多くの受賞に輝く山口秀矢監
督が、お笑いコンビ・インパルスの板倉俊之と堤下敦を主演
に迎えて描いた実話に基づくドラマ作品。本作は今年のゆう
ばり国際ファンタスティック映画祭に正式出品された。
物語の舞台は富士山麓の樹海。主人公は制作会社に所属する
2人のフリーディレクター。彼らは会社から出された企画へ
の不満から、自ら立てた企画を持って樹海の中央にあるバス
停のそばに止めた車で張り込みをしている。
その企画とは、樹海に自殺のためにやってくる人物を捉え、
その心境などをインタヴューすると共に、自殺を思い止まる
ように説得して、その模様を映像に収めるというものだ。そ
して何日も張り込みを続けた2人はついに1人の男性の取材
に成功するが…
物語の発想は、10年ほど前に樹海をテーマにした民放のドキ
ュメンタリーを制作した際に、2人のフリーディレクターを
紹介され、正にその彼らが自殺志願者を説得する番組を制作
していたのだそうだ。
その話を聞いた監督は、最初はあまり良い印象を持たなかっ
たようだが、彼らと共に仕事をする内に、彼らの内に秘めた
葛藤を知り、そのピュアな気持ちに感動してこの物語を映画
にしたいと考えたという。
以来10年の歳月を掛け練り上げた作品とのことだ。
インパルス以外の出演者は、遠藤久美子、きたろう、烏丸せ
つこ。特に烏丸は、以前に山口が演出したドラマに出演した
事が有り、偶然再会した時に企画段階の話しを聞かされて、
ぜひ制作するようにと励ましたという。
映画初主演となるインパルスの演技は、当然ながら特にうま
いというものではないが、そのちょっと不自然さもある感じ
がかえって本作のイメージには合っている感じで、樹海の風
景とも合わさって超常的というほどではないが不思議な雰囲
気を醸し出している。
それはゆうばり国際ファンタスティック映画祭で正式上映さ
れるに相応しいものにもなっていた。
以前にも何度か書いていると思うが、僕は自殺を描いた作品
を肯定しない。一方で富士の樹海は、管轄する行政が自殺が
テーマの作品の撮影を許可しないのだそうで、本作も自殺自
体がテーマではなくその防止を描いているものだ。
それはいろいろ微妙なところもありはするが、本作は映画祭
に正式招待というファンタスティックな雰囲気も含めて評価
できる作品になっていた。
『歌藝〜終り無きわが歌の道』
今年が没後12年、十三回忌を迎えた三波春夫の往年のリサイ
タル映像を上映する「特別シネマ公演」。
実は僕自身が15年ほど以前に中野区江古田の元三波邸跡地に
建てられた集合住宅に居住していて、当時は同じ建物の一角
に暮らしていた三波氏の姿も何度か見掛けたことがある。そ
んな訳で多少親しみもあって観た作品だった。
内容は2部構成で、前半では1976年(昭和51年)に荒川区民
会館で行われた「歌謡生活20周年記念リサイタル」が紹介さ
れる。
ここでは、デビュー曲の「チャンチキおけさ」から「世界の
国からこんにちは」までのヒット曲のオンパレードで、中で
も長編歌謡浪曲と銘打たれた代表作「俵星玄蕃」を完全版で
聞けるのは、かなり堪能したと思えたものだ。
因にこのリサイタルでは、この年の文化庁芸術祭優秀賞を受
賞しているが、その映像は残っていないとされていたもの。
しかし当時行われた中継の録画が放送局で発見され、今回は
それをHDリマスターしたものが上映される。
またこの前半では、三波氏のトレードマークとも言える「お
客様は神様です」の名台詞も聞かれるが、ここでは前置きと
[5]続きを読む
06月10日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る