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On the Production
by 井口健二
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■桃まつり−なみだ−、スカイラブ、グッバイ・ファーストラブ、ベルヴィル・トーキョー、モンスター、闇の帝王DON、命ある限り、YES/NO
『闇の帝王DON・ベルリン強奪作戦』“डॉन २”
2月紹介『タイガー・伝説のスパイ』と同じく「ボリウッド
4」と題されて連続公開されるインド最新映画。
原題は“DON 2”となっていて、本作は“DON”の続編のよう
で、前作との繋がりはいろいろありそうだが、本作だけでも
充分に楽しめる作品になっていた。
主人公は、アジア全域の闇社会を支配する犯罪王ドン。彼は
ヨーロッパへの進出を計画していた。しかしこの事態に脅威
を感じたヨーロッパの犯罪組織も対抗策に出る。そこで彼ら
は過去の経緯を捨て、ドンの暗殺指令を出す。
一方、ドンに兄を殺された(前作の話?)インターポールの
女性捜査官もドンの跡を追っており、ドンは両面から追い詰
められて行くことになる。ところが突然ドン本人がインター
ポール本部に現れ、あっさり逮捕されてしまうのだが…
主人公のドンを演じるのは、1月紹介『恋する輪廻』などの
シャー・ルク・カーン。2006年に公開された前作に続いて主
演だが、実は前作の直後に企画された続編は彼の負傷のため
に撮影延期となり、その他の事情も重なって6年後の続編と
なっているものだ。
相手役は、2000年のミス・インディアに選ばれ、続くミス・
ワールド世界大会でも優勝を果たしたプリヤンカー・チョプ
ラ。なお本作には他に、同じく2000年のインド代表でミス・
ユニバース優勝者のララ・ダッタも出演している。
脚本と監督は、俳優としても活躍しているファルハーン・ア
クタル。前作に続いての担当だが、実はその前作には1976年
公開のオリジナルがあり、監督はその作品の脚本を手掛けた
ジャーヴェド・アクタルの息子という繋がりがあるようだ。
プレス資料には「インド版『ルパン3世』」というコピーも
添えられていたが、確かにユーモアなどは共通するものの、
本作の主人公が狙うのは、お宝頂戴といった生半可なもので
はない。そこにはかなりシビアな展開も描かれるし、それな
りにリアルさも感じられるものになっていた。
そして描かれるアクションは、正に『ミッション:インポッ
シブル』ばりのトリッキーなもので、さらにそこに騙し騙さ
れの犯罪者の心理が描かれるのも見所の作品になっていた。
なおラストシーンにはちょっと仕掛けもあって、出来ること
なら2006年の前作も観たくなる作品だった。

『命ある限り』“जब तक है जान”
『闇の帝王』と同じく「ボリウッド4」と題されて連続公開
されるインド最新映画。
登場するのは、インド陸軍で爆弾処理エキスパートの少尉。
彼は防護服を使用せず、生身でテロリストが仕掛ける爆弾と
対峙して処理を成功させてきた。しかし無謀との言える彼の
行動の影には、ある交通事故を切っ掛けにした悲しい事実が
隠されていた。
その事実を知ったのは、Discovery Channelに在籍する駆け
出しの女性ディレクター。彼女は偶然の出来事で少尉の手帳
を盗み読み、彼の姿を描いたドキュメンタリーの制作に乗り
出す。そして完成した作品のチェックのために訪れたロンド
ンで、少尉は再び交通事故に巻き込まれる。
映画を観終って最初に浮かんだのは、ジェームズ・ヒルトン
原作の『心の旅路』だった。1942年に映画化もされたこの物
語に、2010年2月紹介『ハート・ロッカー』を加味したよう
なこの作品は、正しく何でも有りのインド映画そのものとい
う感じかもしれない。
しかも本作は、インド映画が臆面もなく描き続けるメロドラ
マであり、それを現代インド映画を象徴あするような壮大な
スケールで描きあげている。これこそが、ボリウッドがハリ
ウッドを超えたと言える作品だろう。上映時間175分を間違
いなく堪能できる作品だ。
出演は、『闇の帝王DON』と同じくシャー・ルク・カーン。
相手役に『タイガー・伝説のスパイ』のカトリーナ・カイフ
と、今インド映画で注目の女優と言われるアヌシュカ・シャ
ルマ。
監督は、ボリウッド映画の牽引者の1人であったヤッシュ・

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03月10日(日)
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