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On the Production
by 井口健二
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■ムーンライズK、ダイナソーP、世界にひとつの…、マキシマムB、ジョニー・トー、シャドー・ダンサー、ゴースト・フライト、ザ・マスター
原題は、言うまでもなく赤狩りで追放されたハリウッド・テ
ンの1人ドルトン・トランボが、1971年に自らの原作小説を
映画化した『ジョニーは戦場へ行った』に由来するもの。そ
の意図はちょっと気になったところだ。
『シャドー・ダンサー』“Shadow Dancer”
元イギリステレビ局のアイルランド駐在員だった作家トム・
ブラッドリーの原作小説(邦訳題名:哀しみの密告者)を、
2009年4月紹介『マン・オン・ワイヤー』でオスカー受賞の
ジェームズ・マーシュ監督が、原作者の脚本に基づき映画化
した人間ドラマ。
1960年代から激化したアイルランド共和軍(IRA)と英国
機密諜報部(MI5)との戦いを背景に、家族のために敵の
スパイとならざるを得なかったIRA女性兵士の物語。
1970年代、暴力テロ事件の相次ぐ北アイルランド・ベルファ
ストで暮らしていた少女は、父親に頼まれたお使いを弟に任
せる。ところがその弟が銃撃戦に巻き込まれて死亡。その責
を自らに課した少女は1990年代、IRAの戦士となって爆弾
テロに従事していた。
そんな女性が何故MI5のスパイとなったのか、そしてその
行動にIRA上層部の疑いが持たれた時、彼女には「シャド
ー・ダンサー」というコード名の別のスパイの存在が明らか
にされる。しかも彼女はそのシャドー・ダンサーを守るため
の囮であったことも…。
非情なスパイ活動の現実と、彼女自身の家族への思いが極限
の状況の中で描かれる。なお原作者は、報道だけでは伝えき
れないアイルランドの現実を語るために、処女作となる本作
の執筆を決意したものだそうだ。
出演は、2010年10月24日付「東京国際映画祭」で紹介したコ
ンペ作品『ブライトン・ロック』などのアンドレア・ライズ
ブローと、2005年7月紹介『シン・シティ』などのクライヴ
・オーウェン。他に、テレビ『X−ファイル』などのジリア
ン・アンダースン、アイルランドのテレビ女優ブリッド・ブ
レナンらが脇を固めている。
2012年6月27日、エリザベス2世英国女王がアイルランドを
再訪し、IRAの拠点だったベルファストで元司令官のマー
ティン・マクギネス副首相と握手。歴史的な和解が行われた
イギリス−アイルランド紛争だが、その歴史の陰でいくつも
の映画史に残るドラマが生み出された。
しかしその戦いを女性の目で描いた作品は初めてとも言われ
ているようだ。そんな本作の中で描かれるIRA兵士の葬儀
のシーンなどは、当時のテレビニュースなどでも見た記憶の
あるシーンがそのまま再現されており、当時見ていたシーン
の裏で起きていた現実が繰り広げられている作品だった。
『ゴースト・フライト407便』“407 เที่ยวบินผ”
2012年3月に公開され、10月31日現在でタイ国内でのホラー
映画興行歴代第1位を記録しているという作品。
飛行中の航空機内という全く逃げ場のない状況を背景に、そ
の機内が多数のゴーストに襲われるという恐怖映画。因に本
作はタイ映画初の3D作品にもなっているが、今回の試写は
2Dでの上映だった。
舞台は、タイの首都バンコクからリゾート地のプーケットに
向かう航空機の機内。その航空機のファーストクラスには、
イギリス留学より地元の飛行学校への入学を希望する少女と
その両親や、地元青年と若い香港女性。空の旅に慣れていな
い老婆や僧侶などいろいろな乗客が座っている。
一方、その乗客たちをもてなすキャビンアテンダントにも、
以前の搭乗で幻覚に襲われ、長期休暇を余儀なくされた女性
や、ゲイの男性など多様な乗員が乗り組んでいる。さらに貨
物室には、誤って乗り込んだまま飛行機が発進してしまった
整備士が閉じ込められていた。
ところが機が高度3万フィートに達した時、突然乗客の1人
が息が詰まると立ち上がり、首を360度回して倒れるという
異常事態が発生。それが引き金のように怪異現象が起き始め
る。そこには身体がぼろぼろなった幽霊などが現れ、やがて
それは乗客同士の殺戮へと発展し…。
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12月30日(日)
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