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On the Production
by 井口健二
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■サイド・バイ・S、ひまわりと子犬の…、悪人に平穏なし、次郎は鮨の…、さなぎ、エンド・オブ・ザ・W、ジャッジ・D、いのちがいちばん…
“Seeking a Friend for the End of the World”
2008年7月紹介『ゲット・スマート』などのスティーヴ・カ
レルと、2010年12月紹介『わたしを離さないで』などのキー
ラ・ナイトレイの共演で、世界の終わりを迎えた人々の姿を
描いた作品。
映画の最初で、小惑星の破壊に向ったスペースシャトルが爆
発したとの報道が伝えられる。つまりこれは、1998年の『ア
ルマゲドン』でブルース・ウィリスらの作戦が失敗に終った
世界の物語。人類はただ最後の日を迎えるだけとなり、街で
は略奪や暴動が続き、少し理性のある人々も最後のパーティ
で酒やドラッグに溺れている。
そんな中で主人公は、突然最愛だと思っていた妻に去られ、
乱痴気騒ぎの続く世間から取り残された存在となる。ところ
がそんな主人公の前に、イギリスからやってきて帰国できる
最後の飛行機に乗り遅れてしまった若い女性が現れる。その
女性は最後に聞きたいというヴィニール盤のレコードを抱え
て途方に暮れていた。
そこで主人公は意を決して女性にある提案をし、2人で目的
地に向う旅を開始することになるが…。2人の前に最後の時
を迎えた人々の様々な姿が繰り広げられて行く。
終末世界の描き方は、まあ予想通りというか、あまり目新し
い感じのものではないが、主役の2人を演じるカレルとナイ
トレイの雰囲気が素晴らしくて、もしこういう事態に陥って
最後の時を迎えるなら、こんなであって欲しいと想いたくな
るものになっていた。
脚本と監督は、2010年2月紹介『ローラーガールズ・ダイア
リー』に楽曲を提供したこともあるというローリーン・スカ
ファリア。脚本が映画化されるのは2作目ということで、本
作は監督デビュー作品でもある。
共演は、今年7月紹介『WIN WIN』などのメラニー・リンス
キー、2010年5月紹介『エルム街の悪夢』などのコニー・ブ
リットン、2009年“Jennifer's Body”などのアダム・ブリ
ットン。そしてマーティン・シーン、カレル夫人のナンシー
・カレルらが脇を固めている。
それにしても今年は、昨年12月紹介『メランコリア』に始ま
って、9月紹介『4:44地球最期の日』など、地球最後の
日を扱った作品が相次いだが、マヤ暦の終る2012年というこ
とで、映画界にはそんなムードも高まっていたのかな?
なお、9月紹介の作品と本作とには共通する展開もいくつか
見られるが、比較してみるとその微妙な違いも面白く感じら
れるものだ。

『ジャッジ・ドレッド』“Dredd”
1995年にシルヴェスター・スタローンの主演で映画化された
ブリティッシュ・コミックスのreboot映画化。
95年の作品は、実は予備知識なしに観ていてスタローンの役
柄が善人なのか悪人なのかもわからず、多少混乱してストー
リーが理解しきれなかった印象がある。まあそれで一般的な
評価も芳しくなく、シリーズ化も叶わなかったものだ。
そんな作品のrebootだが、今回は予備知識もあったしストー
リー展開も明確で、なるほど新時代のコミックス・ヒーロー
という感じの作品に仕上げられていた。なお原作は1977年に
イギリスでスタートし、後にDCコミックスにも登場したも
のだそうだ。
その物語は、核戦争後のアメリカ東部海岸の一帯に立ち並ぶ
高層ビル群メガシティ・ワンが舞台。凶悪犯罪の多発で逮捕
・裁判などの手続きが間に合わなくなった社会は、警察と裁
判所を融合させた組織を作り、そこに所属するジャッジと呼
ばれるエリートたちに捜査から逮捕、判決、刑の執行までを
可能とさせた。
そんな中で主人公のジャッジ・ドレッドは、正義の許に妥協
を許さず、刑の執行も躊躇しない不屈の司法官だった。そし
て物語は、その日も犯罪者に正義の鉄槌を下したドレッドが
裁判所に呼び出されるところから始まる。
そこにいたのは、ちょっとひ弱な感じの女性司法官。実は体
力テストなども不合格な彼女だったが、彼女にはある超能力
が備わっていた。そしてドレッドに最終テストが依頼され、
彼はその日の任務に彼女を同行させることになる。

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12月16日(日)
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