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On the Production
by 井口健二
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■奪命金、ホビット、王になった男、キャビン、ブレイキング・ドーン、クラウド・アトラス、レ・ミゼラブル、ライフ・オブ・パイ
弟と、2007年1月紹介『パフューム』のトム・ティクヴァの
共同監督による1849年から2144年、さらにその先の未来まで
も描いた上映時間2時間52分の超大作。
イングランド出身で、日本の広島で8年間英語講師をしてい
たこともあるというイギリス人作家デイヴィッド・ミッチェ
ルが2004年に発表し、ブッカー賞の最終候補にも残った原作
小説の映画化。
物語は、1849年の南太平洋を舞台にした航海記と、1936年の
スコットランドが舞台の若き音楽家の物語。さらに1973年の
アメリカを背景にした原子力発電所の陰謀の話と、2012年の
イギリスが舞台の出版エージェントの物語。
そして2144年のネオソウルを舞台にしたクローンの物語と、
さらに遠未来が背景の文明崩壊後の地球の物語。これら6つ
の物語が並行して語られ、人が生きて行くことの意味が探ら
れて行く。
因に演出は、ウォッシャウスキー姉弟が1849年と、2144年、
遠未来、ティクヴァが1936年と、1973年、2012年を担当し、
それらが『パフューム』などのアレクサンダー・バーナーに
よって編集されている。
出演は、トム・ハンクス、ハリー・ベリー、ジム・ブロード
ベント、ヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ
・ドゥナ、ベン・ウィンショー、ジェイムズ・ダーシー。
さらにジョウ・シュン、キース・デイヴィッド、デイヴィッ
ド・ギヤスィ、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント。
彼らが6つの物語の中にそれぞれ別の役柄で登場する。
中でもハンクスは全ての物語に比較的重要な役柄で登場し、
全体的な物語の語り部という感じのようだが、その性格など
が一貫されているものではなく、その辺をとやかく言うよう
な作品ではなさそうだ。
一方、本作でハリウッドデビューとなるペ・ドゥナは、特に
未来のパートではかなり物語の核心に近い役柄で、上手くす
るとオスカーノミネートもありそうな感じだ。なお日本暮ら
しの長い作者の作品には日本人の登場人物が多いそうだが、
本作は原作も韓国人だったのかな。原作の翻訳は来年1月に
出るようなので、確認してみたい。
『レ・ミゼラブル』“Les Misérables”
ヴィクトル・ユーゴー作「噫無情」ではなくて、アラン・ブ
ーブリル脚本、クロード=ミッシェル・シェーンベルク脚本
・作曲によるミュージカル作品の映画化。
物語の開幕は、ナポレオン1世没落直後の1815年。19年間の
服役から仮釈放されたジャン・バルジャンは冷たい世間を彷
徨う内、司祭館で銀食器を盗んでしまう。しかし逮捕された
彼に対して司祭は銀食器は与えたものと主張し、釈放された
バルジャンは今までの行いを悔いることになる。
そして8年後、マドレーヌと名を変えたバルジャンは事業に
成功し、市長の地位まで手にしていた。ところがそこに仮釈
放の義務を怠って逃亡したバルジャンを追う刑事ジャベール
が現れる。そのジャベールは、マドレーヌをバルジャンと疑
うが、証拠は得られない。
そんな中で娼婦ファンテーヌの窮地を救ったバルジャンは、
自分が彼女の窮状を招いたことを知り、彼女の娘コゼットを
保護すると約束して娼婦の最後を看取る。しかし彼の背後に
はジャベールの影が迫っていた。そしてバルジャンは自らの
過去を隠したままコゼットを連れて逃亡の旅を続ける。
さらに物語は1832年のパリへと繋がり、1930年の七月革命の
後に立憲君主制に移行したものの、労働階級や学生に不満が
募る中でのバルジャンとジャベールとの対決や、コゼットの
恋、そして学生たちの蜂起や、もう1人の少女エポニーヌの
悲恋などが描かれて行く。
出演はヒュー・ジャックマンとラッセル・クロウ。共にオー
ストラリアからアメリカに進出した俳優だが、本格的な共演
は初めてになりそうだ。他に『ダークナイト・ライジング』
のアン・ハサウェイ、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セ
イフライド。さらに『スウィニー・トッド』のサッシャ・バ
ロン・コーエンとヘレナ・ボナム・カーター。
また今年1月紹介『マリリン・7日間の恋』などのエディ・
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12月09日(日)
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