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On the Production
by 井口健二
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■ユダ、みなさん…、明日の空の…、レッド・ライト、ナイトピープル、ハンガリアン・ラプソディ、塀の中のJC、二つの祖国で+Star Wars
そのコンサートの模様は、実はロックにはあまり詳しくない
僕としては、前半はただ聞いているだけでしかなかったが、
後半のRadio Ga GaからWe Are the Championに至る、僕でも
耳にしたことのある楽曲では感動を覚えた。
特に最後のWe Are the Championをブダペストの観客たちが
拳を振り上げて大合唱するシーンには、ベルリンの壁崩壊の
3年前の、当時の彼らの心情を考えると、正しく彼らの魂の
叫びが聞こえてくるようにも感じられるものだ。
そしてそれらの楽曲は、5.1chサラウンドにremixされ、これ
も劇場でしか味わえない迫力のサウンドとなっている。その
中ではフレディ・マーキュリーが弾くピアノ演奏などもクリ
アなサウンドで収録されている。
さらに作品の上映には、25分のドキュメンタリーが併映され
るが、そこでは1986年の映画『ハイランダー・悪魔の戦士』
にクィーンが関った経緯なども紹介される。
その中ではラッセル・マルケイ監督へのインタヴューも紹介
され、また個々の楽曲に寄せたメムバーの思いなども詳しく
語られて、映画ファンにも貴重なドキュメンタリーになって
いた。
日本公開は11月24日から、この日は奇しくも1991年に他界し
たフレディ・マーキュリーの命日に当たるそうで、フレディ
の最後のツアーともなったコンサートの映像は、ファンには
最高の贈り物と言えそうだ。
『塀の中のジュリアス・シーザー』“Cesare deve morire”
2001年の映画『復活』でモスクワ国際映画祭グランプリを受
賞したイタリアのパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟
による最新作。
舞台はローマ郊外にある刑務所。演じられるのはシェイクス
ピアの「ジュリアス・シーザー」。そして演じるのは、その
刑務所に収監されている囚人たち。物語は、その刑務所で実
際に行われている演劇実習プログラムに基づくもので、その
刑務所では毎年その練習の成果としての公演が一般公開され
ているとのことだ。
タヴィアーニ兄弟は、友人からこの演劇のことを教えられ、
訪問してその姿に感動した兄弟は直ちに映画化を考えたとい
う。しかしそれはドキュメンタリーではなく、あくまでドラ
マとして演じられるもの。ただし出演者には、演劇実習と同
じく囚人たちを起用するという計画だ。そしてその演目とし
て「ジュリアス・シーザー」が選ばれた。
それはシェイクスピアの描いた友情と裏切り、殺人と苦悩、
権威と真実などのテーマが受刑者自身に重ね合わされるので
はないかという目論見にもよっている。こうして映画の通り
のオーディション(これは実際のものと同じだそうだ)が刑
務所内で行われ、選ばれた出演者たちによる虚実を取り混ぜ
たドラマが展開されて行く。
出演者は、キャシアス役が終身刑、シーザー役は刑期17年、
ルシアス役も終身刑、アントニー役は刑期26年の囚人たち。
またブルータス役は、昨年8月紹介『ゴモラ』に出演のサル
ヴァトーレ・ストリアーノが演じているが、彼は元刑期14年
の囚人で演技実習によって演劇に目覚め、恩赦による出所後
に俳優になったのだそうだ。
他に舞台監督役は、実際に演技実習の教官を務める舞台俳優
のファビオ・カヴァッリが演じている。
それにしても大胆な内容の作品だが、映画は全編が実際の刑
務所の中で撮影されており、その特異な構造などが巧みに物
語に取り入れられている。それがある種ファンタスティック
にも見えるところが、この作品の上手いところでもありそう
だ。そして結末の辛辣さも見事だった。
なお映画は、当然イタリア語で演じられており、ローマ史劇
が現地の言葉で演じられているものだ。このためシーザーは
チェーザレ、ブルータスはブルートなどになっているが…。
これが字幕では全て英語表記に統一されているのは、ちょっ
と残念な感じもした。それにイタリア各地の方言も字幕には
反映されておらず。それも残念な気分だった。
『二つの祖国で/日系陸軍情報部』
“MIS Human Secret Weapon”
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11月11日(日)
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