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On the Production
by 井口健二
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■裏切りの戦場、北のカナリア、合衆国最後の日、僕の中のオトコの娘、カリフォルニア・ドールズ、拝啓愛してます、LOOPER、ゲットバック
それと勝負のつけ方が字幕では5カウントとなっていたが、
実際は3カウントで、その辺も気になったところだ。
それにしても主人公たちのド派手なパフォーマンスは、映画
の観客にも直にアリーナの興奮が伝わってくる感じで、これ
は見事な作品だった。
『拝啓、愛してます』“그대를 사랑합니다”
韓国で2007年にベストセラーになったコミックスの映画化。
その後の演劇化も成功を収め、2011年に公開された本作では
160万人の観客動員を記録したそうだ。
主人公は、早朝の牛乳配達をしている老人男性。金はあるら
しいが引退して暇つぶしのようにやっているようだ。そんな
男性が坂道でリヤカーに積んだ古紙を運ぶ老女と遭遇する。
そしてその老女が気になった男性は徐々に彼女に接近し、や
がて彼女の境遇を知ることになるが…
この2人に、老女が出入りする仕切り場に隣接する駐車場の
管理人とその痴呆症の老妻や、さらに男性の孫娘など周囲の
人々が絡んで、見事なヒューマンドラマが展開される。
戦争で父親がいなかったから苗字だけで名前が無いなど、日
本とはちょっと異なる風俗も登場するが、映画の全体は正に
ヒューマンなタッチで、この物語なら万国に通用すると思わ
れるものだ。でも韓国特有の文化が、さらに物語を深めてい
るのかもしれない。
そんな、僕らにとっては異国の雰囲気もしっかりと描かれて
いる作品だった。
出演は、2008年2月紹介『恋の罠』などのイ・スンジュン、
2006年『王の男』などのユン・ソジョン、2005年『麻婆島』
などのキム・スミ、そして2004年1月紹介『殺人の追憶』な
どのソン・ジェホ。中では1951年生まれのキム・スミが一番
若いというベテランたちの共演だ。
他に、2009年11月紹介『霜花店』などのソン・ジヒョ、『恋
の罠』などのオ・ダルスらが脇を固めている。
監督は『麻婆島』などのチュ・チャンミン。この2005年の作
品も高齢者問題を扱っていたようで、その問題意識の中から
生まれた作品のようだ。
また原作者のカン・プルは、2002年からウェブでコミックス
を連載している先駆者の1人で、すでにいくつか作品の映画
化もあるようだが、プレス資料によると、本作では初めて原
作者自身が「恥ずかしくない作品」と語っているようだ。
老いらくの恋というと、日本では何となく後ろめたいニュア
ンスがあるが、本作ではそのような事も超越したドラマが描
かれており、それを大ベテランの俳優たちが見事に表現して
いる作品だ。
『LOOPER』“Looper”
2010年5月に紹介した『ブレイキング・バッド』でもいくつ
かのエピソードを手掛けているライアン・ジョンスン脚本・
監督による時間テーマのSFアクション作品。
物語の舞台は2044年。実は2072年にタイムマシンが開発され
るが、政府によってその使用は禁じられた。ところが犯罪組
織がそれを悪用し、彼らは邪魔者を過去に送り込み、そこで
始末させるという手口を実行している。
ここで映画の中に詳しい説明はなかったように思うが、どう
もこのタイムマシンでは行けるのが30年の過去限定らしく、
結局それは歴史改変などはできないが、証拠を残さず邪魔者
を消す手段としては有効だったようだ。
そのため1人の男が未来からやってきて武器を配り、決った
日時に決った場所に現れる被害者を殺す手筈を整えている。
その報酬は被害者が背負ってくる銀の延べ棒で、その価値は
そこそこのようだ。
しかし失敗すれば、それは殺す側の落ち度として請け負った
者自身が抹殺される危険も伴っていた。そんな中で主人公た
ちは連絡が来ると各自の決められた場所に出向き、そこで現
れたヤツを殺し続けていた。
それはそこに現れたのが30年後の自分自身であっても、請負
人はそいつを殺害する。そしてその報酬はその時だけ金の延
べ棒となり、以後の30年の余生を勝手気ままな放蕩に明け暮
れる。それが今までのやり方だった。
主人公自身の未来が現れるまでは…。
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10月14日(日)
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