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On the Production
by 井口健二
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■パーティは銭湯から…、虚空の鎮魂歌、サイバーゲドン、天のしずく、人生の特等席、最初の人間、ユニバーサル・ソルジャー+World's End
いる。
なお本作は、今年10月20日から28日まで六本木で開催される
第25回東京国際映画祭においてクロージングを飾るものだ。
『最初の人間』“Le premier homme”
1960年に46歳で交通事故により亡くなったノーベル賞文学賞
作家アルベール・カミュの遺作だが、1994年まで発表される
ことのなかった未完の原作の映画化。
舞台は1957年夏のアルジェリア。フランスに渡って成功した
作家が母校の大学での講演のために帰ってくる。しかしフラ
ンスからの独立闘争に揺れる故郷は、彼に対して歓迎だけで
はないようだ。その講演で平和的解決を訴える作家は、聴衆
の激しい非難の嵐を呼んでしまう。
それでも講演のあと街に出た作家は、故郷で1人で暮らす母
親を訪ねたり、危険を冒してイスラム教徒の居住区に向い、
幼馴染からの訴えを聞いたりもするが、そんな行動に合わせ
て作家の幼い頃の記憶が再現されて行く。それは慎ましくも
平和に満ちた時代だった。
そして作家は幼い頃に出兵して亡くなった父親の面影に辿り
着く。
1954年に勃発し、1962年にアルジェリアが独立を勝ち取るま
で続くアルジェリアの闘争に対して、元々がフランスからの
入植者の子孫であるカミュは、当初は映画にも描かれるよう
に、フランス人とイスラム教徒とが平和的に共存する社会を
夢見ていたようだ。
しかし映画の冒頭にも描かれる講演会での出来事で、双方が
強硬な態度を変えないことに失望したカミュは、以降は一切
の発言を拒んでいた。そんなカミュの態度には批判も集まっ
たが、それに対して彼が執筆を開始したのが本作であるとも
伝えられている。
そんなカミュの思いの詰め込まれた本作は、交通事故の現場
で発見されたカバンの中に収められていたが、当時の状況を
鑑みて遺族はその出版を拒否したものだ。その本作の中で、
カミュは信念ともいえる平和共存の社会を願っていたが。
フランスとアルジェリアの関係については、あまり詳しくは
知らなかった。しかし2006年6月にフランスのサッカー選手
アルベール・ジダンのドキュメンタリーを紹介した折に、ア
ルジェリア出身の選手の置かれた境遇を知ったものだ。
それ以前には、ジッロ・ポンテコルヴォ監督の『アルジェの
戦い』を公開当時に観ているが、それは正に独立戦争そのも
のを描いていた。従ってその陰に隠された民衆の、特にフラ
ンス系の人々の思いなどは描かれていなかった。その部分が
本作では描き出されている。
脚本と監督は、1998年『いつか来た道』でヴェネチア金獅子
賞など数々の受賞に輝くジャンニ・アメリオ。イタリア人の
監督だが、1966年『アルジェの戦い』もイタリア人監督によ
るものだったようだ。
主演は2005年12月紹介『美しき運命の傷痕』などのジャック
・ガンブラン。2011年8月紹介『やがて来る者へ』などのマ
ヤ・サンサ、2006年3月紹介『隠された記憶』などのドゥニ
・ポダリデス、それに映画出演は2000年以来というベテラン
女優のカトリーヌ・ソラらが脇を固めている。
『ユニバーサル・ソルジャー殺戮の黙示録』
“Universal Soldier: Day of Reckoning”
『ハード・ソルジャー炎の奪還』“6 Bullets”
今月紹介『エクスペンダブルズ2』にも出演のジャン=クロ
ード・ヴァン・ダム主演によるアクション作品が2作連続で
公開されることになり、公開は別々だが試写は連続で行われ
た。ここでは纏めて紹介する。
1本目は、言うまでもなく1992年にローランド・エメリッヒ
監督のハリウッド進出第1作として製作された作品からの継
続編。1999年にミック・ロジャース監督による『ザ・リター
ン』が発表され、その後に2010年4月紹介『リジェネレーシ
ョン』が公開されての、本作は第4作となる。
監督は2010年作と同じジョン・ハイアムズで、前作の原題が
試写されたフィルム上では、“A New Beginning”となって
いた事からの予定された続編のようだ。
でその物語は、リュック・デュブローではない新たな男が中
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09月30日(日)
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