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On the Production
by 井口健二
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■FASHION STORY、アウトレイジ2、ヴァンパイア、ロラックスおじさん、One Night One Love、最終目的地、ゾンビ革命、ハーバー・クライシス
たしているジェームズ・アイヴォリー監督が、2005年に盟友
の製作者イスマイル・マーチャントを亡くして以降、最初に
撮った2009年の作品。
たった1冊の著作を残して自殺した作家の伝記をめぐって、
作家が隠遁していたウルグアイの邸宅を訪れた大学講師の伝
記執筆者と、彼を迎える作家の未亡人、愛人、作家の兄とそ
のゲイの愛人らが繰り広げる人間模様。そこで未亡人は伝記
の執筆を拒絶し、兄は条件付きでそれを認めるのだが。
そんな中、いろいろな状況から邸宅に居候することになった
伝記執筆者と作家の遺族、さらに近所の住人や途中でアメリ
カから駆け付ける伝記執筆者の恋人なども加わって、不思議
な雰囲気の物語が展開されてゆく。
出演は、アンソニー・ホプキンス、ローラ・リニー、シャル
ロット・ゲンズブール。
さらに、2005年『ミュンヘン』などのオマー・メトワリー、
2009年6月紹介『バーダー・マインホフ』などのアレクサン
ドラ・マリア・ララ、2011年11月紹介『瞳は静かに』などの
ノーマ・アレアンドロ。そして真田広之が、ホプキンス演じ
る作家の兄の愛人を演じている。
因にホプキンスはアイヴォリー作品には4回目の主演、真田
はアイヴォリー監督の前作『上海の伯爵夫人』に続いての出
演となるものだ。また、ピアニストも目指したことがあると
いうホプキンスは、劇中の上映会で演奏されるピアノ曲の作
曲と演奏も務めているそうだ。
1994年『ウィークエンド』の原作者でもあるピーター・キャ
メロンの原作から、こちらも監督の長年の盟友である1986年
『眺めのいい部屋』でオスカー受賞のルース・プラワー・ジ
ャブヴァーラが脚色。
南米ウルグアイというのも、何とはなしの雰囲気があるが、
そこで繰り広げられる人間ドラマにも南米特有の雰囲気が漂
っている感がした。それは何処か物憂く、それでいて情熱的
で、その雰囲気は何か欧米ともアジアとも異なるものだ。
そんな物語が、世界中から集まった俳優たちによって演じら
れる。それも不思議な雰囲気の作品だった。
『ゾンビ革命』“Juan de los Muertos”
キューバ革命から50年。キューバ映画史上で初めて作られた
ゾンビ映画。
舞台はキューバのハバナ。その街で暮らすフアンは、アンゴ
ラ出兵にも参加した男だが、現在は仕事もせずにグダグダと
生活している。そんなフアンは、ビルの屋上から街を眺める
ことが日課だったが、ある日、只ならぬ事態が進行している
ことに気づく。
それは街の住人たちが突如凶暴になり、お互いを殺し始めて
いたのだ。しかし政府の発表でそれはアメリカに援助された
反政府分子の反乱で、まもなく制圧されたというのだが…。
街では革命委員会の幹部までもが凶暴化していた。そこでフ
アンが考え出したのは…。
こうして、何度も窮地に陥りながらも生き延びたフアンは、
愛する娘と仲間たちの安全を確保するために最後の作戦に出
ることを考える。それはキューバ人にとっては究極の選択と
いえるものだった。
脚本・監督はアレハンドロ・ブルゲス。2007年『恋人たちの
ハバナ』という作品が各国で評価されたというアルゼンチン
出身、キューバの映画学校で学んだ監督だが、本作は元々が
サム・ライミの大ファンと自称する監督による子供時代から
の夢を実現した監督第2作だそうだ。
主演は、ハバナ高等芸術学院演劇科教授で、現在キューバで
最も人気が有り尊敬されている俳優の1人とされるアレクシ
ス・ディアス・デ・ビジェガス。
他に、ハバナ国際映画テレビ学校教授を務めるホルヘ・モリ
ナ。スペイン女優のアンドレア・デューロ。さらにアンドロ
ス・ペルゴリーア、イャス・ビラー、エリエセル・ラミレス
らが脇を固めている。
ゾンビというとヴードゥー教のハイチが本場だが、同じカリ
ブ海に浮かぶ島国でもさすが社会主義国のキューバは違った
ようだ。そんなキューバ初のゾンビ映画は、社会風刺も織り
込みながら、キューバの現状も伝える作品になっていた。
とは言うものの、本当にこんなこと描いちゃっていいの…?
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08月26日(日)
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