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On the Production
by 井口健二
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■B・レガシー、フタバから遠く…、ビラルの世界、情熱のピアニズム、リヴィッド、恋と映画とウッディ・アレン、UVERworld、中国映画の全貌
それから1969年の監督デビュー作『泥棒野郎』や、1972年の
『ボギー!俺も男だ』は追い掛けて観に行ったが、1977年の
『アニー・ホール』からはアレンは変わってしまったとの想
いで遠ざかっていた。
ただし、ファンタシー系と見倣せた1985年の『カイロの紫の
バラ』や、1987年の『ラジオ・デイズ』などは観ていた。そ
して1999年の『ギター弾きの恋』あたりからまた観始めてい
たものだ。この作品はそんな僕にぴったりの作品だった。
ここには正にアレンの映画が満載で、しかもそれぞれの時代
の思い出と共に語られており、それはほぼ同時代を生きた僕
にとっての思い出にも重なるもの。僕はアレンより14歳年下
だが、そんなノスタルジーに浸ることもできた。
それにしてもクリップで挿入される各作品の面白いこと。そ
れはもちろん作品のベストの部分が抜き出されているものだ
が、それにしても短いカットだけで確実に笑えることには、
今さらながら驚嘆した。
それからアレンへのインタヴューの中で、SFファン的には
興味深いアレンとアイザック・アシモフのエピソードが語ら
れていた。これにはアレンのSFへの関心も感じられ、SF
ファンには聞き逃せないものだ。
正にアレンファンには見逃せない1作だ。
なお本作は、東京では11月10日からTOHOシネマズ・シャンテ
で公開されるが、その後の12月1日からは同劇場で2010年作
の『恋のロンドン狂騒曲』も公開、さらに2013年には最新作
の“To Roma with Love”の日本公開も決まったようだ。
因に『恋のロンドン狂騒曲』“You Will Meet a Tall Dark
Stranger”は、今回のドキュメンタリーと一緒に試写を観せ
てもらったが、アンソニー・ホプキンス、ジェマ・ジョーン
ズ、ナオミ・ワッツ、ジョッシュ・ブローリン、さらにアン
トニオ・バンデラス、フリーダ・ピント、ルーシー・パンチ
らの共演で、アレンらしいほろ苦さの効いた大人のコメディ
が展開されていた。
その作品が、ドキュメンタリーでの撮影風景に続けて楽しめ
るのも、ファンには嬉しいプレゼントとなっているものだ。

『UVERworld/Documentary:THE SONG』
2005年にメジャーデビューした滋賀県出身の5人組バンドを
追ったドキュメンタリー。
2010年には東京ドーム公演も成功させながら、今だにライヴ
ハウスにこだわる彼らの音楽姿勢と、それを培った彼らの成
長の記録が、メムバーや関係者へのインタヴューによって描
かれている。
元々滋賀県には2つのライヴハウスがあり、そこに集まるの
はほとんどが知り合いばかり。そんな観客よりも出演者の方
が多いような環境の中で、幼馴染やその友達の友達というよ
うな感じで仲間が集まり、バンドが結成される。
そんな彼らが一歩ずつ階段を登り、メジャーデビューを果た
す。しかしそこには別の試練も待ち構える。そんな中で結束
した彼らは、自らの想いで音楽性を高めて行く。
その一方で彼らはリハーサルを公開し、若いバンドマンたち
の目標となる努力も重ねる。それは彼ら自身が昔し見せても
らった先輩たちの姿にも重なっているようだ。
最近は何故かドキュメンタリーの試写が立て続けにあって、
今週もすでに観た9本の内6本がドキュメンタリーだった。
その中で本作は、音楽に疎い僕としては正直にはあまり期待
していなかったのだが。
作品を通して感じる彼らの気持ちには共感を覚え、いつしか
引き込まれる作品になっていた。
それは彼らの音楽に対する真剣な態度もあるが、何より周囲
の者を大切にし、後輩たちにも優しい気配りをする姿が、最
近の若者にはない純朴さのようなものを感じさせてくれたせ
いかもしれない。
それに本作では、ライヴシーンの楽曲に歌詞の字幕が付いて
いるのも好ましく感じられた。それは作品の展開ともマッチ
して、彼らからのメッセージが一層明確に伝わってくる感じ
もしたものだ。
歌詞の字幕は日本著作権協会が煩くて、うかつに付けられな
い、という話を以前に聞いたことがあるが、本作ではそれを

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08月12日(日)
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