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On the Production
by 井口健二
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■莫逆家族、アシュラ、籠釣瓶、恋に至る病、リンカーン/秘密の書、キック・オーバー、デンジャラス・ラン、トータル・リコール+Hobbit
の更生を早める目的を持って設営された施設だったが、外部
との接触は組織との接触も容易にし、刑務所内はさながら社
会の縮図で組織の温床になっていた。
そんな中に放り込まれた主人公は、まずは巧みに立ち回って
組織の概要を掴み、さらには彼らを利用して奪われた金を取
り戻すことを画策する。しかし刑務所には軍隊を動員して閉
鎖する期限も迫っていた。
まるでスラム街のような刑務所の中や、そこを牛耳る組織の
姿などが、一面ではヴァイオレンスとユーモアも込めて描か
れてゆく。それは適度の興奮とカタルシスも得られる作品だ
った。
共演は、2004年『バッド・エデュケーション』などのダニエ
ル・ヒメネス・カチョ、2011年のオスカー候補作“A Better
Life”などのドロレス・エレディア、2005年2月紹介『コン
スタンティン』などのピーター・ストーメア、それに人気子
役のケヴィン・ヘルナンデス。
脚本は、ギブスンと2006年『アポカリプト』の第1助監督を
務めたエイドリアン・グランバーグ、第2助監督を務めたス
テイシー・パースキーが共同で執筆。グランバーグが監督、
パースキーが製作を担当している。
さらに『アポカリプト』に参加のジェイ・アロエスティが美
術監督を務めるなど、スタッフはギブスンの関係者が集合し
ているようだ。
実生活ではいろいろ問題も起こしているギブスンだが、いざ
映画となれば集まる仲間も多くいるようで、人情には厚いの
だろう。それは本作の主人公にも通じるところで、そんな主
人公を自らの脚本で描き出しているものだ。

『デンジャラス・ラン』“Safe House”
1989年『グローリー』と2002年『トレーニング・デイ』で、
2度のオスカー受賞に輝くデンゼル・ワシントンの製作総指
揮・主演によるアクション作品。
物語の舞台は南アフリカ。その国でCIAが重要人物を匿う
ために用意した「セイフハウス」は長年開店休業状態だ。そ
の管理人のマットは、近々パリに向かう恋人と共に転属する
ことを願っているが、捜査活動などに実績のない彼の願いは
叶いそうもない。
そんな時、電話が鳴り出し重要人物の到着が告げられる。と
いっても彼が行うのは室内を整えることだけで、特別な任務
がある訳ではなかったが…。やってきたフロストは10年前に
CIAを離脱し、世界各国の諜報機関の機密を握る危険人物
だった。
そして「ハウス」ではフロストから機密を聞き出すべく過酷
な尋問が開始される。ところがその直後、誰も知らないはず
のその場所が襲われ、尋問に来ていたベテラン捜査官たちが
皆殺しとなる。この時マットにはフロストと共に脱出して、
彼を次の隠れ家に連れてゆく任務を与えられるが。
事態はCAIに内通者がいることを示し、またフロストはど
んな相手も懐柔する心理戦の名手でもあった。
共演は、2011年7月紹介『グリーン・ランタン』では主役を
務めたライアン・レイノルズ。その恋人役に2009年7月紹介
『幸せはシャンソニア劇場から』などのノラ・アルネゼデー
ル。女優は本作がハリウッドデビューとなった。
他に2011年8月紹介『ミッション:8ミニッツ』などのヴェ
ラ・ファーミガ、2010年2月紹介『グリーン・ゾーン』など
のブレンダン・グリースン、2010年9月紹介『フェア・ゲー
ム』などのサム・シェパードらが脇を固めている。
脚本は、本作がデビュー作というデヴィッド・グッゲンハイ
ム、監督はスウェーデン出身で本作でハリウッドデビューを
飾るダニエル・エスピノーサ。ワシントンはエスピノーサと
会食して、即決でこの役を引き受けたそうだ。

『トータル・リコール』“Total Recall”
1990年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で製作され
たフィリップ・K・ディック原作映画のリメイク。この再映
画化に、今年2月紹介『アンダーワールド:覚醒』では製作
総指揮・脚本を務めたレン・ワイズマン監督が挑戦した。
物語の背景は、21世紀末。世界は相次ぐ戦争で荒廃し、人類
が居住可能なのはイギリス諸島を中心としたブリティン連邦

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08月05日(日)
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