ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460098hit]

■ダークナイト ライジング、画皮 あやかしの恋、X年後、歌えマチグヮー、マダガスカル3、コンシェンス、セイフ、ペンギン夫婦のつくり方
日本版は、玉木宏、柳沢慎吾、岡田義徳、高島礼子らになる
ようだ。

『コンシェンス/裏切りの炎』“火龍”
前々回紹介『強奪のトライアングル』と共に、「ニュー香港
ノワール・フェス」と題して8月11日から東京・新宿武蔵野
館で上映される3作品の内の1本。今年3月紹介『ビースト
・ストーカー/証人』などのダンテ・ラム監督による2010年
作品。
映画の開幕は、かなりトリッキーな映像。その中から最初の
事件がスタートし、そこから警察内部も巻き込む重大犯罪が
描かれて行く。しかもそこには、追跡劇や銃撃戦、さらには
街頭での爆発など、正にアクションが盛り沢山に描かれた作
品だ。
物語の始まりは娼婦の殺害事件。その捜査に任命された主人
公は、実は身重の妻を通り魔に殺され、以来ミニバンに寝泊
まりしてその犯人を追い続けてもいた。しかし捜査を任じら
れた主人公は腹心の部下や女性刑事らと共に殺人犯を追い詰
めて行く。
ところが、囮捜査などでようやく犯人を捕えても、自白した
犯人が護送中に犯罪組織と思われる連中に奪還されるなどの
事態が繰り返される。このため主人公らは警察に内通者がい
ることを疑い始めるが…
1970年代の香港警察の腐敗ぶりは物凄かったそうで、それが
ジャッキー・チェンの『香港国際警察』を生み出したのだそ
うだが、本作の背景は携帯電話なども登場する現代でも、そ
の図式は変わっていないようだ。
しかも本作では、警察側の真犯人が最終的にそのことを自分
の弁明にしているのだから、これはもう究極とも言えるもの
になっていた。これでよく香港警察が文句を言わないものだ
と思ってしまうほどだ。
恐らくは壮絶なアクション映画を作るためのフィクションと
して認められているのだろうが、それにしても…
出演は、2008年12月紹介『花の生涯』などのレオン・ライ、
2011年8月紹介『アクシデント』などのリッチー・レン、そ
して2010年11月2日付「東京国際映画祭」で紹介した『ホッ
ト・サマー・デイズ』などのビビアン・スー。
上記の警察官が犯罪に走る理由などが多少不明確な感じもす
るが、それを補う壮絶な銃撃戦などの展開で、映像的には存
分に満足できる作品だった。

『セイフ』“Safe”
2010年4月紹介『プリンス・オブ・ペルシャ』などの脚本も
担当したボアズ・イェーキンの脚本・監督、ジェイスン・ス
テイサム主演によるアクション作品。
主人公の1人は、賭けボクシングで本当は負けるはずだった
のに相手を1発で倒してしまい、八百長の仕掛け人から追わ
れることになってしまった男。もう1人は、中国本土で天才
的な数学の能力を示し、ある目的でアメリカに連れてこられ
た少女。
何しろ男は滅法強く、少女は観た数字は絶対に忘れない。そ
んな2人がニューヨークで出会い、中国マフィアとロシア・
マフィアを向こうに回して、共に窮地からの脱出劇が描かれ
る。
戦闘能力に長ける男がいたいけな少女を守って敵地を脱出す
るという作品はいろいろあったと思うが、本作では少女の頭
が良くて各所で必要な行動を取る。そんなところが新機軸の
作品と言えそうだ。
共演は、2011年8月紹介『リミットレス』などのロバート・
ジョン・バーク、『ダークナイト ライジング』にも出演の
レジー・リー、2002年4月紹介『ノット・ア・ガール』など
のアンソン・マウント、さらに2008年2月紹介『燃えよ!ピ
ンポン』などのジェームズ・ホン。
それに1975年映画デビュー作の『狼たちの午後』でオスカー
ノミネートされたクリス・サランドンと、オーディションを
勝ち抜き本作で長編デビューした12歳の新星キャサリン・チ
ェン。見るからに東洋系のチェンはこれからの活躍も楽しみ
だ。
物語では、少女しか覚えられないはずの情報を主人公が簡単
に記憶してしまうなど、アレレと思うシーンも登場するが、
ここは本来なら暗号を少女の天分と男の経験で解読し、その
結果を男が記憶するというような流れが必要だろう。
上映時間が94分では、そこまで充分には描けなかったのかも

[5]続きを読む

07月22日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る