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On the Production
by 井口健二
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■WIN WIN、よだかのほし、演劇1/演劇2、旅の贈りもの2、放課後ミッドナイターズ、東京スカイツリー、ウェイ・バック+特撮博物館
の精度』などの小林弘利。全体の構成がどちらの意向による
ものか判らないが、野上はスカイツリーに関してはすでに複
数のテレビ番組も手掛けており、その中で生まれたアイデア
とも思える。
先に書いたようにあくまでもお子様向けの作品ではあるが、
大人の鑑賞にも充分に耐えうる作品になっている。
それは僕自身が技術系の大学の出身者であるから、その辺は
補足して観てしまっているかも知れないが、逆に言えばこれ
をお子様向けだけとするはもったいない感じもしてくる。こ
れを観ているともっと深く描いた作品も観たくなってきた。

『ウェイ・バック〜脱出6500km〜』“The Way Back”
2004年1月紹介『マスター・アンド・コマンダー』などのピ
ーター・ウィアー監督による同作以来の新作。
1941年、西シベリアの矯正収容所にはロシア革命で共産主義
に殉じなかった各国の人々が送り込まれていた。そんな中で
妻の証言によって収容所送りとなったポーランド人の主人公
は、それでも妻を愛し、妻に許しの言葉を掛けることを夢見
ていた。
そして彼の許に集まったアメリカ人の元技師やロシア人の犯
罪者、それにポーランド人の仲間たちは、過酷な環境に耐え
兼ねてついに脱走を開始する。しかしそれは雪深いシベリア
の大地やゴビ砂漠などを、満足な食料、水もなく踏破する過
酷な旅となった。
原作は、1954年にロンドン・デイリーメール社がヒマラヤの
イェティ捜しを行った際、その事前調査の中で発掘された実
話で、原作本は1956年に刊行され、世界25カ国で翻訳がされ
ているそうだ。
そんな実話に基づく物語だが、映画は脚色が入っているにし
ても本当にこれが出来たのだろうかと思えるほどの過酷な状
況で、そんな極限状態が見事に描かれる。しかもそこには彼
らを駆り立てる理由づけもしっかりとなされていた。
出演は、2008年3月紹介『ラスベガスをぶっつぶせ』などの
ジム・スタージェス。他に、エド・ハリス、2007年12月紹介
『つぐない』でオスカー助演賞候補になったシアーシャ・ロ
ーナン、コリン・ファレル。
他に、『バトルシップ』に出演アレキサンダー・スカルスガ
ルドの弟のグスタフ・スカルスガルド、今年3月紹介『ジョ
ン・カーター』などのマーク・ストロング、2007年12月紹介
『4カ月、3週間と2日』などのアレクサンドル・ポトチュ
アンらが脇を固めている。
ブルガリア、モロッコ、インドなどでの撮影に2カ月間が費
やされたという作品は、戦時中の物語なのに戦闘シーンが一
切なく、過酷な運命に立ち向かった人々の姿を見事に描き出
していた。

『特撮博物館』
『新世紀エヴァンゲリオン』などの庵野秀明が館長を務める
標記の展覧会が東京木場公園にある東京都現代美術館で10月
8日まで開催されている。そのオープニングの前日に行われ
た内覧会に招待されたので、その報告をさせてもらう。
展覧会は「ミニチュアで見る昭和平成の技」と銘打たれたも
ので、『モスラ』以降の東宝怪獣映画を中心に、製作当時の
図面に基づくミニチュアの再現や実際に映画の中で使用され
た光線銃などの小道具の展示が前半を占めている。
またそこにはコンセプトアートの原稿なども展示されて、デ
ザインの変遷が解説されていたり、それはマニアには堪らな
い世界が繰り広げられている。特に展示物のほとんどが、ガ
ラスケースなどもなく直接観られるのは貴重なものだ。
そして中盤には、今回の展示の目玉とも言えるスタジオジブ
リ製作、庵野秀明企画、樋口真嗣監督による「巨神兵東京に
現わる」という短編作品の上映スペースがあり、ジブリアニ
メの『風の谷のナウシカ』に登場した巨神兵が、ミニチュア
特撮によって再現された。
その物語はまあ庵野流のものではあるが、それをCGI=ア
ニメではない特撮によって再現できているのには、日本の特
撮技術もしっかりと継承されていることが判ってうれしくも
思えたものだ。
さらに後半では、その短編映画のメイキングに絡めて日本の
ミニチュア特撮の歴史が展示され、工房や倉庫の再現、さら

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07月15日(日)
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