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On the Production
by 井口健二
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■フランス映画祭2012、農家の嫁/ちょっとエッチな生活体験/セカンドバージンの女、王様とボク、シャーク・ナイト、ただ君だけ、工事中
なお脚本には原作者のやまだないとも名前を連ねている。
主題は最初にも書いたように、大人になりたくない若者たち
の精神状態を描くもので、そこに6歳のまま精神的な成長の
無い幼馴染みが出現して、その中での若者たちの葛藤が描か
れて行く感じのものだ。
しかしそれが映画としてあまり巧みには描かれていない感じ
がした。それは特に主人公と目覚めたモリオとの交流があま
り深くは描かれていないこともあり、全体に中途半端な感じ
になる。さらに将来への展望が得られないことも不満には感
じられた。
それは原作による部分も多いようで、原作者はそれで納得し
ているのかも知れないが、何処か自己満足に終ってしまって
いる感じもする。確かに未来に展望の無い現代では、この結
末も仕方ないのかも知れないが…。後は観客に委ねると言い
たいのだろうか。
『シャーク・ナイト』“Shark Night 3D”
2006年5月紹介『ポセイドン』や2005年開始『ホステル』シ
リーズなどの製作者クリス・ブリッグスと、2009年9月紹介
『ファイナル・デッドサーキット』などのデイヴィッド・R
・エリス監督が組んだホラー・サスペンス。
なお本作の試写は2Dで行われたが、上映のスクリーンには
しっかりと上記の原題が表示されたものだ。
物語の舞台はアメリカ南部のとある湖。人里離れたその湖畔
に建つ別荘に主人公のサラと大学の仲間たちがやってくる。
その別荘はサラの一家のものだったが、彼女自身は3年間そ
こを訪れていなかった。
しかし、目の前に広がる湖の景色は訪れた男女が恋を語り合
うには絶好の場所。こうして思い思いにヴァカンスを楽しみ
始めた仲間たちだったが…。突如、彼らを湖にはいるはずの
無いサメが襲い始める。
ということで、プロローグは『ジョーズ』を思い出させる情
景に始まって、その後は次々に襲い掛かるサメの恐怖が描か
れる。しかもそれが、パニックではなくホラーとして描かれ
ている作品だ。
主演は、2008年“Superhero Movie”のサラ・パクストン。
他にもウェス・クレイヴン製作の“The Last House on the
Left”など、顔に似合わずジャンル映画が好きな女優のよう
だ。
共演者には、2007年5月紹介『ゴースト・ハウス』などのダ
スティン・ミリガン、2009年“The Butterfly Effect 3”に
主演のクリス・カーマックらが名を連ねている。またサメの
操演とVFXは1997年『アナコンダ』などのウォルト・コン
ティが手掛けた。
携帯電話が圏外なのはともかく、固定電話や無線設備もない
別荘という設定は多少無理がある感じだが、それ以外の人間
模様などはそれなりに有りそうという感じだし、特に主人公
たちがいかに反撃するか…という辺りの興味もうまく作られ
ていた。
それと今回は2Dでしか観られていないが、2009年作品でも
3Dを体験済みのエリス監督の演出はかなり物が飛び散って
いる感じで、これは3Dでも楽しみたくなったものだ。
『ただ君だけ』“오직 그대만”
2005年1月紹介『スパイダー・フォレスト』などのソン・イ
ルゴン監督が、2007年12月紹介『アドリブ・ナイト』のハン
・ヒョウンジと、2009年1月紹介『映画は映画だ』のソ・ジ
ソブの共演で描いたラヴストーリー。
主人公は一時は将来を属望された元ボクサー。しかし彼は、
今では夢を捨てミネラルウォーター配達のアルバイトで暮ら
している。そんな男が夜間の駐車場の管理人の仕事を始めた
日、管理室に1人の女性が現れる。
彼女は前の管理人の知り合いだったが、盲目で管理人が替っ
たのも知らずに入り込んだのだ。こうしてその女性と言葉を
交わすようになった主人公は、彼女のためにまた夢を観るこ
とを考えるが…。ある事実が彼を危険な道へと駆り立ててし
まう。
チャールズ・チャップリンの1931年の名作『街の灯』をモテ
ィーフにしたという切なくも暖かい物語が展開される。
監督の以前の作品の紹介文の中で、僕は「監督は生真面目な
人なのだろう」というようなことを書いていた。それがその
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06月10日(日)
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