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On the Production
by 井口健二
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■LONE CHALLENGER、岸部町奇談、カイウラニ、グスコーブドリ、希望のシグナル、バルーンリレー、アイアン・スカイ、The Lady+DS記者会見
引っ掛かった赤い風船を発見する。そして通り掛かったサッ
カー部の男子に登って風船を取るように命じるのだが…
その男子は取ることを失敗した上にこずえの上に落下、彼女
は腕を負傷してレギュラーの座を逃してしまう。そんなこと
でもやもやしているこずえの目に、再び空を漂う赤い風船が
見つかる。そしてその後を追ったこずえは首尾良く風船を掴
まえることに成功。
しかしその風船に付けられていたSDカードを再生したこず
えは、思いも拠らない冒険に導かれることになる。
といってもVFX満載の大冒険というものではないが、日本
の女子中学生には等身大の、しかし決して尋常ではない冒険
が、次々現れる怪しい人物たちと共に、さらには決して真面
とは言えない発想の下で、繰り広げられて行くものだ。
出演は、「ネスレキットカット」のCMキャラクターで前回
紹介『スープ』にも出ていた刈谷友衣子、若手俳優集団D2
の大久保祥太郎。他に2011年10月紹介『ミツコ感覚』などの
古舘寛治、同年12月紹介『アフロ田中』などの美波。さらに
内田春菊、松金よね子らが脇を固めている。
脚本と監督は、2007年の函館港イルミナシオン映画祭のシナ
リオ公募でグランプリを受賞しているという藤村亨平。なお
本作は65分の作品だが、6月23日からの一般公開では同監督
による2011年の作品『逆転のシンデレラ』(25分)が併映さ
れるようだ。
最初の赤い風船が漂うシーンには、アルベール・ラモリス監
督の短編映画『赤い風船』を思い出した。そしてその後の展
開の中にも同作品に通じるものがあって、その点は監督にも
聞いてみたくなった。それはただの偶然にしても嬉しかった
ものだ。

『アイアン・スカイ』“Iron Sky”
フィンランド、ドイツ、オーストラリアの共同製作で、今年
2月のベルリン国際映画祭でプレミア上映された奇想天外な
SF映画。
時は2018年。大統領選挙を控えるアメリカ・ホワイトハウス
は、低落する人気の回復のため黒人飛行士を乗せた宇宙船を
46年ぶりに月に送り出す。しかし乗っていたのは訓練も受け
ていないただのモデルだった。
ところが月着陸も成功し、1人の飛行士が地平線の向こうを
覗いたとき、そこには巨大な鍵十字をあしらった軍事基地が
存在していた。そしてそこから現れたナチスの兵士に捕えら
れた黒人飛行士は、彼らが1945年に移住し今や地球再侵攻を
企んでいることを知る。
そこでナチスに洗脳された振りをして地球先遣隊に加わった
黒人飛行士は、何とか地球に舞い戻ることに成功するが…。
1950年にジョージ・パルが映画化した『月世界征服』の原作
とされるロバート・A・ハインラインの1947年作品『宇宙船
ガリレオ号』にも、ナチスによる月面基地の話があったと記
憶しているが、ナチスが月を目指していたというのは欧米で
は知られた話だ。
従って本作の設定は、欧米人にとってはそれほど奇想天外で
はないのかも知れない。しかしそこから後の展開は、それは
もうかなりの奇想天外と言えるものだ。しかもそこには名作
のパロディなども満載で、中では『博士の異常な愛情』が見
事に登場したのは嬉しかった。
出演者にあまり知られた俳優はいないようだが、中でナチス
将校役のゲッツ・オットーは2005年5月紹介『ヒトラー〜最
後の12日間〜』に出演、また黒人飛行士(モデル)を演じた
クリストファー・カービーは2010年9月紹介『デイブレイカ
ー』に出ていたようだ。
ヒロイン役はドイツのテレビを中心に活動しているユリア・
ディーツェ、さらに2010年12月5日付のニュースでも紹介し
た『ソウル・キッチン』のウド・キアーも出演していた。
原案は2004年のティプトリーJr.を受賞しているヨハンナ・
シニサロ。脚本は、1997年ハワード・スターン主演『プライ
ベート・パーツ』などのマイクル・カールスニコ。監督は、
2005年“Star Wreck: In the Pirkinning”が話題になった
ティモ・ヴォレンソラが担当している。
内容的にはかなりハチャメチャな作品だが、CGIを中心と

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05月20日(日)
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