ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460106hit]
■汚れた心、サニー 永遠の仲間たち、スープ、プレイ/獲物、愛の残像/灼熱の肌、ダーク・シャドウ、臍帯、MIB3
監督の死に対するイメージを色濃く感じる作品だ。しかし脚
本には、監督の長年の協力者であるマルク・ジョロデンコ、
アルレット・ラングマン、それに後者では監督の妻のカロリ
ーヌ・ドリュアスも参加しているもので、そのイメージは共
有のようだ。
『ダーク・シャドウ』“Dark Shadows”
1966年6月27日から1971年4月2日まで、ほぼ5年に渡って
毎週5回ずつ合計1245回が放送された昼間の連続ドラマの映
画化。そのアメリカでは絶大なファン層があるという伝説の
ドラマにジョニー・デップとティム・バートンのゴールデン
コンビが挑んだ。
物語の開幕は18世紀の半ば、アメリカ東部メイン州で事業を
興したコリンズ家は海産物の取り引きで財を成していた。と
ころが当主の息子バーナバスが火遊びのつもりで手を出した
メイドのアンジェリークは、実は恐ろしい妖術を使う魔女だ
ったのだ。
やがて美しい女性ジョゼットに心変わりしたバーナバスに、
アンジェリークは呪いを掛ける。それはジョゼットを死に追
いやり、バーナバスは不死の吸血鬼にしてその悲しみから逃
れられないよう鉄の棺に閉じ込め、地中に埋めてしまう。
しかし200年の時が過ぎ、ある偶然の出来事でバーナバスの
棺が掘り起こされる。そしてその時を同じくして1人の女性
が、半ば廃屋と化したコリンズ家の館を訪れる。その女性の
姿はジョゼットにそっくりだった。
一方、復活したバーナバスは様子の違いに戸惑いながらも没
落したコリンズ家の再興に乗り出す。だがそれは、200年間
姿を変えながら町を支配し、今では海産物業界をも牛耳るア
ンジェリークを相手にするものだった。こうして200年の時
を超えた闘いが始まる。
このバーナバスにデップが扮し、アンジェリーク役は2008年
1月紹介『黄金の羅針盤』などのエヴァ・グリーン、そして
ジョゼット役には2012年『TIME/タイム』などの新星ベラ・
ヒースコートが起用されている。
他にミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム=カーター、
2006年2月紹介『イーオン・フラックス』などのジョニー・
リー・ミラー、2010年5月紹介『エルム街の悪夢』などのジ
ャッキー・アール・ヘイリー。
またデップが製作した『ヒューゴの不思議な発明』に出演の
クロエ・グレース・モレッツとガリー・マクグラス。さらに
クリストファー・リーや、テレビシリーズ当時の出演者もゲ
スト出演していたようだ。
映画化の原案は2005年7月紹介『チャーリーとチョコレート
工場』などの脚本家ジョン・オーガストが手掛け、さらにス
トーリーと脚本を6月に全米公開される“Abraham Lincoln:
Vampire Hunter”の原作者で脚本も手掛けたセス・グラハム
=スミスが担当している。
僕自身、オリジナルに関してはその題名を知っている程度で
日本公開された劇場版も見逃しているものだが、今回の物語
はオリジナルよりユーモラスに作られているようで、バート
ン+デップらしい楽しい作品になっている。
また作品には、1970年代にオマージュを捧げているような感
じもあり、そんな背景の中で奇妙でダークなストーリーが展
開されているものだ。
『臍帯』
2010年の「東京国際映画祭・ある視点部門」で上映された後
に、2011年の上海国際映画祭で審査員特別賞などを受賞した
作品。2005年『トニー滝谷』などをプロデュースした橋本直
樹による長編監督第1作。
物語はある一家に冷たい視線を向ける女性の姿から始まる。
その一家は1人娘と夫婦の一見平和そうな家族だが、思い詰
めたような女性の目にはただならぬ背景が感じられる。そし
て女性は、その一家の1人娘を拉致する。
その娘と倉庫のような場所に閉じ籠もった女性は、娘に精神
的な圧迫を加え続け、やがて娘の携帯から1通のメールを送
信する。そこには「・・・だから私は、あんたの一番大事な
モノを壊してあげる」と書かれていた。
最初は父親の不倫相手かな…なんて思いながら観ていると、
物語は予想外の展開に進んで行く。そして結末まで、それは
[5]続きを読む
05月13日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る