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On the Production
by 井口健二
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■バトルシップ、君への誓い、バッド・ティーチャー、紙兎ロペ、屋根裏部屋のマリアたち、ワンドゥギ、ムサン日記、タイタンの逆襲
識は薄く、その常識がメイドたちによって覆されて行く。
そんな時代背景も持った作品だが、映画自体は堅苦しいもの
ではなく、会社経営などにストレス一杯の主人公が、ふと体
験したメイドたちの大らかな生活振りに感動し、自分自身を
取り戻して行く。そんな素敵なヒューマンドラマが、ユーモ
アもたっぷりに描かれていた。
出演は、主人公の金融マン役にフランソワ・オゾン監督の新
作などにも出演しているファブリス・ルキーニ。
他に、2010年7月紹介『プチ・ニコラ』などのサンドリーヌ
・キベルラン、2004年3月紹介『dot the i』などのナタリ
ア・ベルベケ、2007年2月紹介『ボルベール』などのカルメ
ン・マウラらが脇を固めている。
脚本と監督は、脚本家・俳優としても実績のあるフィリップ
・ル・ゲイが担当した。
『ワンドゥギ』“완득이”
韓国チャンヒ青少年文学賞を受賞し、70万部を売り上げるベ
ストセラーになったキム・リョリョン原作小説の映画化。
主人公は18歳の高校生。父親は身体に障害を持つキャバレー
芸人だが、仕事場だったキャバレーが潰れ、同居の「叔父」
と共に行商の仕事に出掛ける。そして家に残された主人公に
は近所に住む担任の男子教師が何かとちょっかいを出す。
その教師は、学校でも主人公の家庭環境を暴くなど目障りな
存在だったが、やがて主人公も知らなかった母親の所在を教
えるなど、さらに深く主人公の生活に立ち入ってくる。
そんな主人公の周囲には、優等生の女子学生やいつも主人公
を怒鳴りつける近所の親父や、その妹の武侠小説作家や、さ
らに主人公が通い始めたキックボクシングジムの連中などが
いて、貧しくて苦しいけれど、何処か夢や希望の見える物語
が綴られる。
出演は、2009年1月紹介『アンティーク』などのユ・アイン
と、昨年5月紹介『チョン・ウチ』などのキム・ユンソク。
他に、2010年8月紹介『義兄弟』に出演のパク・スヨンとイ
・ジャスミン。
また、2010年10月紹介『黒く濁る村』などのキム・サンホ、
2008年4月紹介『シークレット・サンシャイン』などのパク
・ヒョンジュ。さらに新進女優のカン・ピョルらが脇を固め
ている。
脚本と監督は、2002年チャ・テヒョン主演『永遠の片思い』
でデビューしたイ・ハン。普遍的な題材をユニークな視点で
描くとされる監督の本作は4作目となるものだ。
なお本作は、韓国では2011年10月に公開され、350万人を動
員する大ヒットを記録したもの。日本では、東京は4月28日
から新宿武蔵野館にて、後日紹介する『ちりも積もればロマ
ンス』との2作連続で「ときめき☆花美男パラダイス」と題
して公開される。
まあ、主演のユは以前からイケメンとされているようだが、
物語は「パラダイス」と呼ぶには多少厳しい現実も描かれて
いる。でも主人公の暮らす環境は、厳しい中にも素敵な友情
などに恵まれ、これはこれでパラダイスかなとも思える作品
だった。
『ムサン日記〜白い犬』“무산일기”
韓国内にすでに2万人以上が暮らしているとされる北朝鮮か
らの脱北者の生活振りを描いた作品。
主人公は脱北して1年目の男性。脱北者が収容される「ハナ
院」での適応訓練は終了したものの、まだ「身辺安全」と称
する地元警察による監視は付いている状態だ。そして監視役
の刑事には仕事の斡旋などもしては貰えるが、差別もあって
その生活は厳しい。
そんな中で主人公はポスター貼りとビラ配りの仕事から、や
がてカラオケ店でも働くようになる。その店は主人公が訪れ
たキリスト教会で賛美歌のコーラス隊にいた女性が店長を務
めていた。そしてその女性に好意を持つ主人公だったが…
一緒に住んでいた脱北者の兄貴分の男が故郷への闇送金でト
ラブルに巻き込まれ、その累は主人公にも及びそうになる。
そんな主人公の傍には、街で拾ったチンド犬とプンサン犬の
ミックスの白い犬が寄り添っていた。
最初の内は世間との付き合いも避けている主人公が徐々にそ
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04月08日(日)
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