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On the Production
by 井口健二
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■女ドラゴン、先生を流産…、ベルフラワー、ムッシュ・ラザール、ビースト・ストーカー、㊙…市場、座敷わらし、愛と誠+Hungover
その背景には、建設の進む高速道路や、その一方で健在な路
面電車、さらに大坂城や通天閣など、今の目で観るとノスタ
ルジックな風景も次々に登場して、特に大阪に詳しい人が観
たら堪らない風景ばかりなのではないかとも思わせた。
主演は芹明香。他に花柳幻舟、宮下順子、絵沢萠萌子、萩原
朔美らが出演している。脚本はロマンポルノを数多く手掛け
たいどあきお。
後者は、昨年12月紹介『幕末太陽伝』と同じ品川宿の女郎屋
を舞台にしたコメディタッチの作品で、少し頭は薄いが名器
の持ち主の生娘を中心に前者とは打って変ってのどたばた劇
が演じられる。社会性はないがこれもロマンポルノという感
じの作品だ。
主演は片桐夕子。他に五條博、益富信孝、山口明美、加納愛
子、あべ聖らが出演。脚本は昨年12月紹介『ツィゴイネルワ
イゼン』などの田中陽造が担当していたようだ。
なお上映はニュープリントという触れ込みだが、画面には擦
り傷などもかなり多く、修復されているものではない。最近
のディジタル上映ではフィルム傷など生じないのになってい
るが、その辺にも時代が感じられた。
一般上映は5月12日から東京渋谷のユーロスペース他、全国
順次ロードショウとなるようだ。
『HOME愛しの座敷わらし』
2010年2月紹介『誘拐ラプソディー』などの原作者荻原浩が
2007年1〜11月の朝日新聞に連載し、2008年の直木賞候補に
もなった連作小説の映画化。テレビシリーズ『相棒』の刑事
役で人気を不動にした水谷豊がホームドラマを切望し実現さ
せた作品だそうだ。
物語の中心は、とある一家の父親。彼は東京の食品会社で開
発研究者だったが、新製品の開発でミスをしたらしく、岩手
県の営業部門に移動になってしまう。そんな父親が住居に選
んだのは、田園地帯に建つ藁葺屋根の古民家だった。
その一家には妻と娘と息子と少し痴呆気味の母親がいて、娘
は前の学校で苛めにあっていたらしく、息子は喘息が治った
ばかりでまだ運動は制限されている。しかし、そんな一家が
引っ越してきた古民家には、住民に幸運をもたらすという座
敷わらしがいた。
映画は巻頭で大自然の広がる中をワゴン車の走って行く様子
が描かれ、やがてその車が到着するのは見事な曲屋。実は先
日テレビで「座敷わらし」の特集番組を観ていて、その出現
するシチュエーションが正にこの通りだったものだ。
そして一家が到着するなりちょっとした怪異現象が起き、や
がてそれは一家を翻弄し始めるのだが…。物語の中では「座
敷わらし」の由来なども紹介され(そこに「しゃぼん玉飛ん
だ」の歌が流れるのは…)、暖かさの中に厳しさが巧みに織
り込まれていた。
一家が「座敷わらし」を認知する過程も巧みだし、その状況
での父親の存在など、正しくホームドラマが展開される。フ
ァンタスティックなシーンもきれいに決まっており、日本映
画には珍しく丁寧な造りの作品だった。
共演は、安田成美、2010年12月紹介『ウルトラマンゼロTHE
MOVIE』などの濱田龍臣、2011年3月紹介『大木家のたのし
い旅行』などの橋本愛、草笛光子。他に、飯島直子、草村礼
子、テレビ『13歳のハローワーク』などの沢木ルカ、菅原
大吉、長嶋一成、高島礼子。
さらにベンガル、梅沢富美男、石橋蓮司、段田保則、宇津井
健らが脇を固めている。また、座敷わらしを演じているのは
岡部珠奈という子役のようだ。
監督は『相棒』シリーズやその劇場版も手掛けた和泉聖治、
脚本は大河ドラマ『義経』などの金子成人、音楽も『相棒』
シリーズの池頼広が担当している。
『愛と誠』
1973−76年に「少年マガジン」誌に連載された梶原一騎原作
漫画の実写映画化。なお同原作からは連載当時にも映画化や
テレビドラマ化などがあったが、本作はそれを2009年2月紹
介『ヤッターマン』などの三池崇史監督が40年ぶりに復活さ
せるものだ。
因に本作では先に内覧試写が行われており、それを観た人た
ちからは「かなり凄いよ」という話を聞かされていた。そし
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03月25日(日)
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