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On the Production
by 井口健二
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■B&W、[●REC]³ 、ウルトラマンサーガ、隣る人、ハローゴースト、残酷な弓、ハングリー・ラビット、ミッドナイトFM+Dark Tower
近寄ってきた女に頬を張られたりと、彼女への嫌がらせは尋
常ではない。それは彼女の息子に原因があるようだ。
その息子が犯した最悪に事件に向き合わなければならなくな
った母親。実はその息子は望まれた子ではなかった。そして
誕生の時から付き纏うそんな思いが、母子関係を負のスパイ
ラルに陥れ、重大な事件へと導く。
物語の前提には多少特殊な部分もあるけれど、現代社会で子
育てを経験した人なら誰もが感じる恐怖が描かれた作品。そ
れは加害者であれ被害者であれ、世界中で日常のように起き
ている恐怖。しかも「家の子に限って」というのは親として
常に付き纏う心配だ。
そんな思いが巧みに描かれる。物語の舞台はアメリカだが、
敢えて事件に銃を持ち出さない辺りに作者の思いも感じられ
る。これは親にとっては普遍的な物語とも言える。そんな親
なら誰しもが身に詰まされる物語が描かれる。
出演は、2008年2月紹介『フィクサー』でアカデミー賞助演
女優賞を受賞し、本作の製作総指揮も兼ねるティルダ・スウ
ィントン。夫役には2003年2月紹介『シカゴ』で助演賞候補
になったジョン・C・ライリー。そして息子役には、本作で
イギリス・インディペンデンテ映画賞の候補になったエズラ
・ミラーが扮している。
映画には救いもあまり感じられず、現実の厳しさが中心に描
かれたものになっている。しかし描かれているのは事件に関
ってしまった母子のやるせない姿であり、底流にあるのはや
はり親子の情のように感じる。
どんな状況にあっても、またどんな経緯があっても、結局は
親子なんだというのが物語の最も言いたかったことのように
も感じられた。それでは甘過ぎるのかも知れないが、そのく
らいの気持ちは現代社会の中でも見出したいものだ。
『ハングリー・ラビット』“Seeking Justice”
2008年9月紹介『バンク・ジョブ』などのロジャー・ドナル
ドスン監督が、2011年7月紹介『ドライブ・アングリー』な
どのニコラス・ケイジの主演で制作したアクション・スリラ
ー。
主人公はニューオリンズ在住の高校教師。チェリストの妻と
共に倹しく暮らしていた彼を突然の悲劇が襲う。練習を終え
て帰宅途中の妻が暴行され、瀕死の重傷で病院に運び込まれ
たのだ。その病床の傍で激しく動揺する主人公に謎の男が声
を掛ける。
その男はサイモンと名告り、犯人を突き止めていると語ると
共に、主人公が望めば犯人への報復を代行すると告げる。そ
の犯人はレイプの常習犯で、警察に突き出しても裁判では被
害者に負担が掛かるだけ、対価は後でちょっとした手伝いを
頼むだけだとも。
その言葉に最初は逡巡した主人公だったが、帰ろうとするサ
イモンを思わず呼び止めてしまう。その結果は…。
法が裁けない凶悪犯を法に替って打ち倒す。ヒーローコミッ
クスの多くがこの図式で展開されているものだが、本作はそ
こに新たな側面を照らし出したとでも言えそうな作品だ。そ
れをハリウッド1のコミックスコレクターを自称するケイジ
が演じるのも面白い。
共演は、2011年11月紹介『アニマル・キングダム』などのガ
イ・ピアース、2005年12月紹介『メルキアデス・エストラー
ダの3度の埋葬』などのジャニュアリー・ジョーンズ、TV
ドラマ『LOST』などのハロルド・ペリノー。
なお撮影は実際にニューオリンズで行われ、映画の後半に登
場するショッピングモールの廃虚は、ハリケーンカトリーヌ
で被災しそのままになっているものだそうだ。他にもスーパ
ードームのモトクロスや高速度路でのスタントなどが織り込
まれている。
因に本作の情報は2008年4月15日付で紹介しており、その際
にはトビー・マクガイアの主演で、題名は“Hungry Rabbit
Jumps”となっていた。その後に主演と題名も変更になった
ようだが、その名残りなのだろう製作者にはマクガイアも名
を連ねている。
また本作は、ケイジの映画デビュー30周年の作品になるよう
だ。
『ミッドナイトFM』“심야의 FM”
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03月18日(日)
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