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On the Production
by 井口健二
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■へんげ、夢の教室、FLY!、幸運の壺、ヤング≒アダルト、トテチータ、スーパー・チューズデー、ももへの手紙、僕達急行
出演は、豊原功補、松原智恵子、新人の寿理菜、テレビドラ
マ「鈴木先生」などの葉山奬之。他に、大鶴義丹、佐藤仁美
らが脇を固めている。また小学生などのエキストラはほとん
どが地元の人たちだそうだ。
脚本と監督は、長年映画やテレビドラマの助監督を務め、ま
た岡本喜八監督の下でシナリオを学んできたという古勝敦。
CM製作や教育映画製作等に関ってきた監督の本作が長編映
画デビュー作となっている。
なお、試写後に製作者とのQ&Aがあっていろいろ伺った。
それによると、元々シナリオは5年ほど前に書かれていたと
のことだ。それを福島の現状を踏まえて改訂して昨年春に撮
影を開始した。しかし資金難で何度も頓挫し掛けたのだそう
だ。
そのため撮影では、セットや小道具なども新たに制作するこ
とは出来なかったが、例えば老女が住む家は地元の製作者の
知人の家で、仏壇などもそこにあったもの。特に震災の爪痕
が残る外回りの様子などが見事に取り入れられていた。
また、重要な小道具となるゼロ戦の模型はロケハンで行った
先の茶店の店頭に飾られていたもので、美術で製作したら数
10万円は掛るものが、偶然手に入って無償で使用することが
できたとのこと。エキストラも含めて地元の支えで完成され
た作品のようだ。
『スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜』
“The Ides of March”
2004年の大統領選挙で、民主党のオハイオ州における予備選
挙キャンペーンのスタッフを務めたボー・ウィリモンが執筆
した戯曲に基づき、ジョージ・クルーニーが自らの出演と共
同脚本、監督、製作で描いた政治サスペンス。2005年12月紹
介『シリアナ』でオスカー助演賞受賞のクルーニーは本作で
脚色賞の候補にも名を連ねている。
物語の背景はアメリカ大統領選挙戦のオハイオ州予備選挙。
主人公は、その予備選で民主党候補の座を狙う州知事のキャ
ンペーンスタッフ。そのキャンペーンにはベテランの参謀か
らインターンまで多数が関っていた。
そして主人公の手腕は共和党の選挙スタッフからも注目され
るほどのもの。そんな彼は、理想の政治家と心酔する州知事
のため全身全霊を捧げていたが…。ある夜をインターンの女
性と過ごした主人公は、彼女の携帯に架かってきた不審な電
話を受けてしまう。
こうして彼が思い描いてきた政治の世界ががらがらと崩れ始
める。演説で理想を語り続ける州知事の陰で、薄汚い駆け引
きや裏取り引きやが繰り広げられ、それらの全ては選挙に勝
つためと言われて行くが…。
主演は2011年11月紹介『ドライブ』などのライアン・ゴズリ
ング。クルーニーは大統領候補を狙う州知事を演じ、他に、
フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティ、
マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド、ジェフリ
ー・ライトらが脇を固める。
脚本のクルーニー自身が「政治ドラマではない」と言ってい
るように、物語は裏で巨大な政治陰謀が動いているようなも
のではなく、むしろ人間ドラマ。それは所詮政治家も人間と
いう考えのようにも観えるし、それがある意味政治批判のよ
うにも観える作品だ。
ただ、それでなくても判りにくいアメリカ大統領選挙の、中
でも特異なオハイオ州予備選挙が背景では、政治に無関心な
日本の若者がどれだけ興味を持ってくれることか。実際試写
会で横に座った男女は、取材と言いながら「意味分んない」
と宣っていた。
まあ取材するなら「それくらい勉強して来い」とも言いたい
が、何の取材かは知らず、これを切っ掛けに少しでも勉強し
てくれたら、それもこの映画の価値とは言えそうだ。スター
俳優の監督出演で若い観客が動員されることを祈りたい。
『ももへの手紙』
2000年発表の監督作品『人狼 JIN-ROH』でファンタスポルト
最優秀アニメーション賞や毎日映画コンクールアニメーショ
ン賞を受賞した沖浦啓之監督による第2作。
主人公は、母子家庭の娘。研究者だった父親が遭難で亡くな
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02月05日(日)
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