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On the Production
by 井口健二
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■桃まつり5、長ぐつをはいたネコ、誰も知らない基地のこと、311、レンタネコ、孤島の王、超能力者+Oscar/nomination
もたいまさこは抜けたが、2007年9月紹介『めがね』からの
市川、光石が常連組。
他に、2010年5月紹介『サイタマノラッパー2』などの山田
と、2010年7月紹介『七瀬ふたたび』などの田中、それに小
林が新加入している。因に、山田と田中は2011年12月紹介の
『アフロ田中』でも共演していた。
という出演者の顔ぶれだが、実は猫好きには人間の演技など
どうでも良くなってしまう。特に主人公の自宅のシーンで、
俳優の後ろでじゃれ合っていたり、画面の端をさっと横切ら
れたりすると、ついそちらに目が行ってしまうのだ。
ただし本作の人間ドラマは会話劇が中心で、目が他に行って
いても問題は少ない。監督もその辺は心得て作っているよう
な感じもした。とにかく猫好きには堪らない作品だ。

『孤島の王』“Kongen av Bastøy”
本国ノルウェーでは2010年に公開され、大ヒットを記録した
上に、その年の同国の映画賞で8部門にノミネート、その内
の作品賞、脚本賞、助演男優賞、音楽賞を受賞した衝撃のド
ラマ作品。
1900年から1970年まで運営されたというオスロ南方のバスト
イ島に所在した非行少年矯正学校を舞台に、その実話に基づ
いた作品。1915年、その矯正学校に送られてきた1人の少年
がその過酷な環境の下で過ごした日々が描かれる。
そこには様々な罪を犯した11〜18歳の少年たちが収容されて
いた。そこで彼らに課せられるのは、徹底した自由の剥奪と
過剰な抑圧。そんな環境の中で彼らは学校側の言う正しい人
間に矯正されて行く。しかし10代の少年にとってそれは過酷
すぎる環境だった。
主人公のキャラクターはフィクションのようだが、描かれる
事件は史実に基づくようだ。そして矯正学校はその後も運営
されているのだから、多分その事件によって改善は行われた
のだろう。そんなある意味、歴史を動かした少年たちの行動
が描かれている。
それにしても、冬の北欧の吹雪の中の野外作業や凍てついた
海の風景など、見るからに過酷な少年たちの生活ぶりがこれ
でもかとばかりに描かれ、その衝撃度も最大な作品と言える
ものになっていた。
出演は、オスロ国立アカデミー出身、1987年生まれのベンヤ
ミン・ヘールスターと、1年以上掛けたオーディションで見
出されたという1990年生まれのトロン・ニルセン。いずれも
瑞々しい演技を見せてくれる。
他に、2011年12月紹介『メランコリア』や前回紹介『ドラゴ
ン・タトゥーの女』にも出ていたステラン・スカルスガルド
(この人の苗字はいろいろに表記されるが、どれが正しいの
かな)が出演して見事に作品全体を引き締めている。
監督は、ロンドン国際映画学校出身のマリウス・ホルスト。
1995年のデビュー作がベルリン映画祭で受賞している他、本
作が4作目の俊英。本作ではスペイン・バレンシア国際映画
祭での金賞など、数々の映画祭での受賞にも輝いているよう
だ。

『超能力者』“초능력자”
現代のソウルを背景に、超能力者同士の戦いを、韓流スター
のカン・ドンウォンとコ・スの共演で描いた作品。
その超能力は眼力で人の行動を自在に操るというもの。しか
しその持ち主はその能力ゆえに幼い頃から真面な暮しをする
ことができなかった。こうしてその男は、超能力を悪用する
犯罪者になっていたが…。ある日、彼はその超能力に抵抗す
る男と遭遇する。
その抵抗者は、その日まで自分にそんな能力があることすら
知らなかったが、危険な犯罪者との遭遇が彼の中に使命感を
呼び起こす。そして2人の超能力者の間で壮絶な戦いが開始
される。
単純明快な正義と悪の戦いという図式の作品だが、何せ正義
側の能力が悪人の超能力に抵抗できるだけだから、これはか
なり不利な戦いだ。でも、実際こんなものだろうなあ…と思
わせるものもあり、それなりにリアルな感覚で楽しめた。
脚本と監督は、2006年7月紹介『グエムル−漢江の怪物−』
の演出部に参加していたというキム・ミンソク。短編映画で
は受賞歴もあるという若手の本作が長編デビュー作になって

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01月29日(日)
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