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On the Production
by 井口健二
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■昼下がりローマ、おとなのけんか、ジャックとジル、忘れられた夢、タッカーとデイル、51、レッド・ティアーズ、POV+Oscar/Makeup
2006年、そのパンダ基地で51gという史上最少体重(通常は
150g程度ある)で誕生し、その体重に合わせて51(ウー
イー)と呼ばれることになった仔パンダの成長を中心に、パ
ンダの繁殖に関る様々な問題を描く。
一般的にパンダは、ほぼ50%の確率で双子を産み、母親はそ
の内の丈夫な方の仔を選んで育てるのだそうだ。しかしここ
パンダ基地では、母親が見捨てた仔パンダは保育器に入れ、
交互に母親に抱かせて2匹とも育てることをしている。
このやり方に関しては以前に他のドキュメンタリーなどで知
っていたし、目新しいものではなかったが、そこからのウー
イーの成長ぶりや、他の母親と仔パンダの関りの記録は、今
まで知らなかったパンダの姿を様々に見せてくれるものにな
っていた。
中でも、死産や想像妊娠を経て人工授精でようやく身籠もっ
た母パンダが、それでも生れた仔パンダの姿に怯えて育児放
棄してしまう姿や、その放棄された仔パンダを乳母となって
育てるベテラン母パンダの姿。
また、初めての子供は育児放棄してしまったが、2度目の子
供はぎこちないながらも大事に育てている新米母親パンダの
姿。そんな正に人間でもありそうな母子の姿が次々に画面の
登場してくる。
その一方で見事に育って行くウーイーの姿が3年以上に渡っ
て記録されており、その愛くるしい姿から成長して少し気難
しくなる様子。それでも母親には甘えてしまう姿などには、
間違いなくパンダファンの心は鷲掴みにされるはずだ。
さらに作品では、今後の課題として繁殖したパンダを野生に
帰す研究などにも言及され、それは良く目の行き届いた作品
になっている。これは正に全てのパンダファンへの最高の贈
り物と言える。
ただし、エンディングに流される歌はこれで良いものかどう
か。この歌に多少の意見のある者としては疑問に感じた。制
作者にどのような思いがあるのかは知らないが、僕には正直
に言って不似合いな感じがする歌だった。
『レッド・ティアーズ』
2006年7月紹介『マスター・オブ・サンダー』などの倉田保
昭企画・製作・出演によるアクション作品。2008年6月紹介
『ギララの逆襲』などの加藤夏希の主演で、加藤がアクショ
ンに挑戦したということでも注目した。
物語は、東京で若い男性ばかりが被害者の猟奇的な連続殺人
事件が発生しているところから始まる。そんな中で若い男性
の失踪届を受け取った刑事は、届け出た女性が男性の失踪の
直前に携帯で撮影した女の姿を追い始める。
そしてその女が不良に絡まれているところを助けることにな
った刑事は、少し陰のある清楚な感じのその女と親しい付き
合いを始めてしまうが…
一方、彼のいる刑事部屋には単独捜査で実績を挙げるベテラ
ン刑事がいて、その刑事は連続殺人事件の第1発見者にもな
っていた。そんなベテラン刑事の周辺で、捜査に駆り出され
た刑事が殺され、その遺体の状況は連続殺人事件のものと同
じに発見される。
という展開なのだが、実は映画の後半は特殊造形の西村喜廣
も参加したスプラッター的なものになって行く。ところが、
物語をそこに持って行く必然性があまり感じられず、そこで
繰り広げられるアクションとの絡みもあまりうまく消化され
ていない。
これは多分、初期の企画段階では後半が先に考えられて、そ
こに向かって脚本が書かれたのだろうが、2011年10月紹介の
『月光ノ仮面』でもそうだったが、この辺のアイデアを繋ぎ
合わせる構成力が不足している感じがするものだ。
テーマ的には僕のテリトリーの作品だったが、これは残念な
作品と言わざるを得ない。
脚本・監督・撮影は、2008年11月紹介『斬〜KILL〜』の中で
唯一評価した『ハード・リベンジ・ミリー』シリーズなどの
辻本貴則。水野美紀にあれだけ頑張らせた演出を今回も観せ
て欲しかった。
因に本作は、倉田の映画出演100作目の記念作品とされてい
るものだが、プレス資料に掲載されたリストには、最初に書
いた作品以外で僕が以前に紹介した2009年4月『ラスト・ブ
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01月15日(日)
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