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On the Production
by 井口健二
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■トワイライト、Gドクター、恋人たちのパレード、果てしなき路/断絶、ジョン・カーター(特)、ウタヒメ、ニュー・イヤーズ・イブ+Alice
ンでのカットバックなどの手法で、フッテージで観ているだ
けでも感動的に描かれていた。この辺はシェイボンの手腕と
いう感じだ。
ただまあそれが、特に原作がよく知られているアメリカのフ
ァンにどのように映るかは、多少気になるところだが…。逆
にそんなことに拘わるのは、口煩い日本のファンの方かなと
は思ってしまうところでもあった。
ということでは実は一点、少し気になるところがあって、そ
れは映像の中に階段が観えたような気がしたものだ。
この階段に関しては、バローズ自身が原作の中で火星の特徴
としても紹介していたところだし、近年バリアフリー社会を
先見していたような部分でもあったので、その設定が無視さ
れたのはちょっと気になった。まあこれが口煩い日本のファ
ンの意見な訳だが。
なお今回のフッテージ上映は2Dだったが、来年4月の公開
は3Dでも行われる。その3D効果にも注目したいものだ。

『ウタヒメ』
1982年宝塚月組娘役トップの黒木瞳と、1995年宝塚花組トッ
プの真野みきの共演で、生活に疲れた主婦たちが選んだ究極
のストレス解消法を描いた作品。その作品を2009年8月紹介
『僕らのワンダフルデイズ』の星田良子が監督した。
主人公は、郊外の住宅地の一戸建てに夫と1人娘と共に住ん
でいる専業主婦。元は秘書課勤務で何にでも気が回ってしま
うが、それが家族にはちょっと疎ましい? そして夫との関
係は冷えきり、娘は登校拒否でコンビニに行くとき以外は部
屋を出てこない。
そんな主人公が、検診で行った病院で元秘書課の後輩と出会
い、娘を連れ戻しに行ったコンビニでパート店員募集の張紙
を観たことから何かが変り始める。それはコンビに訪れる女
性客も巻き込んで…
ある切っ掛けで彼女らとカラオケに行った主人公は、ふと高
校時代に憧れた「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を演奏
する男子生徒たちの姿を思い出す。そして演奏したいと口走
った彼女に離婚慰謝料の入った元後輩が動き、演奏の目標も
できてしまう。
それは娘の在籍する学校の学園祭で開催されるチャリティ演
奏会への出演だった。それに向けて特訓が始まるが…。
共演は、2006年6月紹介『フラガール』などの山崎静代と、
2007年5月紹介『怪談』や2008年『ぐるりのこと。』では日
本アカデミー賞主演女優賞も受賞した木村多江。日本一不幸
が似合う女優といわれる木村の弾けた演技は観ものだ。
他に、西村雅彦、六角精児、相島一之、太田基裕、赤座美代
子、栗咲寛子(新人)、佐野史郎らが脇を固めている。また、
五十嵐貴久の原作に基づく脚本は、2006年9月紹介『アジア
ンタムブルー』などの神山由美子が担当した。
物語の多くを占めるのは、中年女性たちの本音のぶつけあい
みたいなもので、それは妻帯者の男性にとっては観ていて忸
怩たる気分になる部分もある。従って作品は多分に女性向け
と思われるが、男性は女性の本音を知るためにも観ておくと
良いかも知れない。
物語の展開では、クライマックスの直前でちょっとテンポが
緩むところがあって、これが原作に沿ったものなのかは不明
だが、映画的には少し工夫が欲しかった感じはした。ただこ
れを無くすと話が凡庸になってしまうし、正に工夫のし所だ
ろう。
しかしクライマックスで演奏される曲は、僕が応援している
サッカーチームのチャントに使われるほどの名曲中の名曲と
言えるものだし、それを4人の女優が懸命に演奏して歌う姿
は感動的でもあった。

『ニュー・イヤーズ・イブ』“New Year's Eve”
2010年1月紹介『バレンタインデー』のゲイリー・マーシャ
ル監督が、今回もまた、ある特別な1日に起きる様々な恋物
語を描いたアンサンブルドラマ。
ロサンゼルスを舞台にした前作から約2年。本作の製作に当
っては前作の続編という事前情報もあったが、完成されたの
は、大晦日の喧噪が最も似合う街ニューヨークを舞台にした
前作とは全く別の物語だった。
そこに登場するのは、今や世界中が注目するタイムズ・スク

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12月18日(日)
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