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On the Production
by 井口健二
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■ワイルド7、わが母の記、顔のないスパイ、ピープルvs.GL、ビーストリー、幕末太陽伝、メランコリア、ウォーキング・デッド+Oscar/VFX
長州藩士による御殿山異人館焼き討ちなどの歴史的な事件も
織り込みながら、混乱期を図太く生き抜く庶民の姿が描かれ
ている。
出演は、佐平次役にフランキー界、高杉役に石原裕次郎。他
に、左幸子、南田洋子、芦川いずみ、市村俊幸、金子信雄、
山岡久乃、岡田真澄、高原駿雄、菅井きん、小沢昭一、西村
晃、熊倉一雄、殿山泰司、二谷英明、小林旭ら懐かしい名前
のスターたちが顔を揃える。
脚本は川島監督と、後に1961年『豚と軍艦』を撮る田中啓一
(山内久)に今村昌平。今村は本作の助監督も務めている。
映画は、撮影当時の品川八ツ山陸橋の実景から始まり、文久
二年(1863年)へとタイムスリップする。そして物語が開幕
するが、脚本では最後も佐平次が撮影当時の現代に走り込む
という結末だったそうだ。
しかしそのシーンは、物語の完成度を崩すという判断で削除
されてしまった。もしその結末があったら…でもそれが無く
ても充分に記憶に残る作品だ。
『メランコリア』“Melancholia”
昨年11月紹介『アンチクライスト』のラース・フォン=トリ
アー監督の新作。今年のカンヌ国際映画祭でキルスティン・
ダンストが最優秀女優賞に輝いた作品。実はパルムドールの
呼び声を監督の舌禍で逃したとの意見もあり、完成度も高い
作品だ。
事前に、映画の内容として「放浪惑星が地球に接近し、危機
が迫ったときの人々の姿を描いている」との情報があり、そ
れをフォン=トリアーがどのように描いたか、僕には興味の
そそられる作品だった。
その物語はプロローグと、本編は登場する姉妹の名を取った
「ジャスティン」「クレア」と題された2部構成とされてお
り、まずプロローグでは、長編小説の口絵のように、これか
ら始まる物語の要所が描かれる。それはかなり強烈な印象を
残すものだ。
そして第1部では、湖畔の邸宅で開かれる結婚式の様子が描
かれ、その花嫁の精神が徐々に侵されて行く姿が描かれる。
しかしここではまだ惑星の接近は示唆はされるが具体的には
提示されない。
その結婚式が終り、普段の生活に戻ってからの第2部で惑星
の接近が明らかになる。だがここでも人々は摺り抜けると信
じており、平穏な生活が続けられる。しかしその中で徐々に
事態が進行して行く。
監督は長くうつ病を煩っており、本作の物語はその中から生
まれたものだそうだ。従って物語には患者の妄想のようなと
ころもあり、その妄想が見事なCGI=VFXによる圧倒的
な映像で提示される。
それは特にプロローグに顕著で、出来ればこのプロローグに
描かれたシーンの全てを本編の中で観たかったもの。実際は
台詞のみなど全ては描かれないが、本編に登場するシーンだ
けでも充分に満足できる作品だった。
共演はシャルロット・ゲンズブール、キーファー・サザーラ
ンド。さらにシャーロット・ランプリング、ウド・キアー、
ジョン・ハート。またいずれも北欧出身のステラン&アレク
サンダー・サースガード父子、イェスパー・クリステンセン
らが脇を固めている。
『スパイダーマン』のMJが受賞したことも嬉しかったが、
これでフォン=トリアー作品からは前作のゲンズブールに続
いての受賞者で、これも見事なことと言える。
『ウォーキング・デッド』
“The Walking Dead - Season 1”
今年10月に第1話のみ試写を観て紹介したフランク・ダラボ
ン製作総指揮によるテレビシリーズで、本国では2010年10−
12月に放送されたシーズン1の全6話のDVDを提供された
ので改めて紹介する。
物語の全体は、作品の中ではウォーカーと呼ばれるゾンビの
出現により文明が崩壊してしまった世界を舞台としたもの。
主人公は田舎町のシェリフだったが、出動中に銃弾を受けて
意識不明となり、目覚めると文明はすでに崩壊していたとい
う開幕だ。
そして第1話では、ゾンビの町に立て籠っている黒人父子に
助けられた主人公が事情を理解し、その父子からアトランタ
にあるCDC(疾病予防管理センター)が対策を研究してい
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12月11日(日)
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