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On the Production
by 井口健二
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■はさみ、瞳は静かに、エリート・スクワッド、夢二、ピザボーイ、マシンガン・プリーチャー、アーサー・クリスマス、しあわせのパン
スト」(映画化されていない注目脚本のリスト)にエントリ
ーされたものだそうだ。
『マシンガン・プリーチャー』“Machine Gun Preacher”
南部スーダンと北部ウガンダの紛争地帯で、武力集団から子
供たちを守る活動を続けている元麻薬ディーラーの男を描い
た実話に基づく作品。その物語を、2002年6月紹介『チョコ
レート』でハル・べリーにオスカー主演賞をもたらしたマー
ク・フォースター監督が、ジェラルド・バトラーを主演に迎
えて映画化した。
物語の開幕は、男が刑務所から出所してくるシーン。その男
サム・チルダースは出迎えた妻の車で仮設住宅のような自宅
に戻って来るが、元はストリッパーだった妻の態度は何処か
おかしい。
それでも最初は放蕩に明け暮れる主人公だったが、ある切っ
掛けから妻の信じる教会に通うようになる。そして人道に目
覚めた彼は、始めた事業も上手く行くようになり、やがて教
会で難民支援活動家の話を聞くと、自ら南部スーダンを訪れ
ることを決意する。
こうしてアフリカの紛争地帯に足を踏み入れた主人公は、武
装集団が村を襲って子供たち拉致し、少年兵に仕立て上げて
いるという実態を目の当りにする。それに対し主人公は、紛
争地帯のど真中で子供たちを守る活動を開始するが…。
何たって元はギャングのような男の話だから、戦闘シーンに
なればマシンガンは打ちまくるし、正にタイトル通りの話が
展開される。しかもそれが一方的に善とばかりは言い切れな
いのものに描かれているのは、見事な作品だった。
因に映画化の切っ掛けは、アメリカのテレビ局が取材した番
組。その番組では、スーダンで活動する男性が片手にショッ
トガン、反対の手には聖書を持って登場し、現地の子供たち
の窮状を訴えていたそうだ。
その番組に衝撃を受けた2人の女性プロデューサーがそれぞ
れ男性にアプローチし、その後に2人は協力して映画化に漕
ぎ着ける。しかもその内の1人が、大学の映画科でフォース
ター監督の同級生だったことから、監督の起用が決まったと
のことだ。
つまりかなり偶然が支配しているようにも感じるが、この手
の映画はそういうことも多いようだ。そして映画の中でもい
ろいろ偶然が作用するが、これらも全て実話に基づいている
ものなのだ。
共演は、今年8月紹介『ミッション:8ミニッツ』などのミ
シェル・モナハン、5月紹介『ロシアン・ルーレット』など
のマイクル・シャンノン。また主人公の娘役を、2007年4月
紹介『ストレンジャー・コール』がデビュー作というマデリ
ーン・キャロルが演じている。
なお、2008年1月紹介『君のためなら千回でも』などの作品
もあるフォースター監督は、子供を上手く扱えるということ
でも選ばれているそうだ。
『アーサー・クリスマスの大冒険』“Arthur Christmas”
クリスマスイヴの1晩で、今では世界中で20億人と言われる
子供たちに、サンタは如何にしてプレゼントを届けるのか、
その秘密を描いた3Dアニメーション作品。
本作の設定ではサンタは不老不死ではなく、代々北極に住む
一家に受け継がれて当主は20代目のようだ。そしてそろそろ
引退も考えているが、2人いる息子の長男は野心家で、プレ
ゼント配達のシステム化に成功している。
ところがそのシステムが完成したはずの今年のクリスマスイ
ヴ。ちょっとしたトラブルからプレゼントが1個だけ不逹に
なってしまう。それは20億分の1の誤差範囲と無視を決める
長男だったが、心優しい次男にはそれは許されないことだっ
た。
こうしてその1個のプレゼントを夜明けまでに届ける次男ア
ーサー・クリスマスの大冒険が始まる。果たしてアーサーは
そのプレゼントを首尾よく届けることができるのか、そして
引退する父親の跡を継ぐのは…
何たって長男の作り上げたシステムというのが強烈で、映画
の前半では妖精たちを使った大作戦が展開される。これに対
してアーサーのプレゼント配達は…。これはある種の現代社
会に対するアンチテーゼのようでもあるが、そのそれぞれの
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11月20日(日)
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