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On the Production
by 井口健二
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■花子の日記、51、歴史は女で作られる、タンタンの冒険、パーフェクト・センス、セカイの向こうに、ドライブ、フラメンコ/フラメンコ
ー・ニールセン、2003年12月紹介『ギャザリング』などのス
ティーヴン・ディレイン、そして、『SW』のトリビア=ウ
ェッジ・アンテリーズ役でマクレガーに役者の道を勧めたと
言われるデニス・ローソンらが脇を固めている。
本作はデンマーク人の脚本ではあるが、『草の死』や『トリ
フィド』などイギリスSFが得意とする終末ものの作品で、
過去の映画化と同様、本作でも製作費を掛けずに巧みに仕上
げられている。特に、発症の前に感情の爆発があるという設
定が物語を見事に盛り上げていた。
その一方で、ケニヤやメキシコ、インドにはちゃんと撮影班
を派遣するなど、丁寧に作られた映像が素晴らしい効果を挙
げている作品でもある。災害の中でも力強く立ち上がる人々
の姿は、特に今の日本人には共感を持って観られそうだ。
『ドット ハック/セカイの向こうに』
2002年にプロジェクトがスタートしたというゲーム、アニメ
などのメディア・ミックス=『.huck』シリーズの最新作。
プロジェクト初のオリジナル劇場版という作品が3Dで公開
される。
物語の背景は、「ワールド」というオンライン・ゲームが人
気を呼んでいる近未来。主人公は、そんな中でもあまりゲー
ムには興味を示していなかった少女。そんな少女が周囲の勢
いに押されてふとゲーム世界に入ってみると…
そこで少女は、いきなり世界を破壊し掛ける異様な敵キャラ
に出会ってしまう。しかもそこには謎の少女と敵キャラに対
抗するグループもいるが、それはユーザーによって操作され
ているものではなさそうだ。
そしてその敵キャラが、ネットワークを通じて現実世界をも
脅かし始める。
主人公らはフェイスマウントディスプレイを装着し、五感を
使ってバーチャル世界を現実のように動き回る。そんな理想
的なゲーム世界が描かれている。それを映画の観客も3Dで
体感できる仕組みの作品だ。
それに映画では、物語の中の現実世界が何処となくコミック
スの絵柄のような大まかさで表現され、それに対するゲーム
世界の表現が精緻で、ゲーム世界の方がリアルに感じられる
のは上手い仕掛けのようにも思えた。
さらに主人公がゲーム初心者で、主人公の行動の中で徐々に
ゲームの全容が知れて行くという構成もなかなか上手く考え
られている感じがした。それは特に主人公に知らされていな
い情報の部分に関しても、違和感なく受け取れるのも巧みな
構成だった。
ただ、主人公の仲間がより多数の仲間に協力を呼び掛ける辺
りの展開が、もう少しその理由付けなどを明確に欲しかった
もので、それがあればより感動的なクライマックスになった
ような気がしたのはちょっと残念に感じられたところだ。
監督は、ゲームソフト「NARUTO」がシリーズで860万本を突
破しているというゲーム制作者の松山洋。脚本は『機動警察
パトレイバー』や『平成ガメラ』シリーズなどの伊藤和典。
2人は共に『.huck』プロジェクト創設メムバーだそうだ。
声優は、2009年7月紹介『サマー・ウォーズ』などの桜庭な
なみ、2009年7月紹介『TAJOMARU』などの田中圭、『侍戦隊
シンケンジャー』などの松阪桃季。
実は、桜庭のアテレコには最初は少し戸惑ったものだが、本
人が透けて観えるのも、それはそれで了解という感じかな…
『ドライブ』“Drive”
先月紹介『ラブ・アゲイン』などのライアン・ゴズリング、
昨年12月紹介『わたしを離さないで』などのキャリー・マリ
ガン共演で、デンマークの鬼才と言われるニコラス・ウィン
ディング・レフン監督に今年のカンヌ映画祭で監督賞をもた
らした作品。
主人公は、ロサンゼルスで強盗の逃走車を運転して小銭を稼
いでいる男。普段は自動車修理工場で働いているが、数年前
にふらりと現れたというだけで素性も明らかではない。しか
し、映画のカースタントも請け負うほどのドライヴィングテ
クニックの持ち主だ。
そんな男がアパートの同じ階に住む子連れの女性と付き合い
始める。その女性の夫は刑務所に入っていたが、すぐに出所
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11月13日(日)
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