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On the Production
by 井口健二
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■ルルドの泉、人生はビギナーズ、インモータルズ、デビルズ・ダブル、UGLY、スイッチ、ウクレレ、ジョージ・ハリスン+Oscar/Animation
巻き込まれてしまう。
猟奇的殺人に、写真を挿げ替えられたパスポートなどが周到
に準備された犯人の身替り。そのパリの住居の住人に仕掛け
られた罠から主人公は如何にして脱出できるのか。大使館も
当てにできない苦境が彼女を待ち構える。
物語では、主人公が犯人として尋問される内に判明してくる
真犯人像がかなりやばくて、その周到な準備の状況など納得
できるように作られている。そして物語はフランスとカナダ
を股に掛けた大スケールの展開となって行くが…
犯人の執拗さがかなり異常で、展開は謎が謎を呼んで行くも
のになる。その辺から多少の違和感も生じてくるのだが、そ
の犯人の動機が明らかにされると、それは辻褄の合うものに
はなっていた。
ただまあ、東京国際映画祭で紹介された作品にもこんな風な
結末のものがあって、それは意外性もあって面白いのだが、
最近このような展開が多い感じがするのはちょっと気になる
ところだ。
脚本は、2004年3月紹介『クリムゾン・リバー2』のオリジ
ナルの原作者で脚本も手掛けたジャン=クリストフ・グラン
ジェ。監督は、2004年『スパイ・バウンド』などのフレデリ
ック・シェンデルフェール。
出演は、ウディ・アレンの2011年作“Midnight in Paris”
に出演しているというカナダ出身のカリーヌ・ヴァナッス。
それに2010年11月紹介『エリックを探して』には本人役で出
演していた元サッカー選手のエリック・カントナ。因にカン
トナは、1997年現役を引退してからは俳優に転身したのだそ
うで、本作でもなかなかの演技を見せていた。
『マイティ・ウクレレ』“Mighty Uke”
ハワイアン演奏には欠かせない楽器ウクレレの起原と歴史、
それに現状を描いたドキュメンタリー。
作品は最初に、先月紹介『がんばっぺ フラガール』の音楽
も担当しているハワイ出身のウクレレ奏者ジェイク・シマブ
クロによる超絶とも言えるウクレレ演奏から始まり、19世紀
後半にポルトガル移民によって楽器が到来したという歴史な
どが紹介される。
そこでは、西欧文化との融合を計ろうとしたハワイ王家の働
きや様々な動きが、ウクレレをハワイ音楽の中心にまでして
いった経緯や、その楽器が一時は世界の音楽をリードしなが
らも、そこから凋落していった歴史なども描かれる。
さらにその楽器が、21世紀に入って数多くの愛好者によって
復活を遂げて行く様子や、世界各国での現状、特にカナダの
高校では音楽の授業に取り入れられて、その選抜メムバーが
ハワイで演奏する感動的な姿なども紹介されている。
ハワイの音楽に関しては、今年6月紹介『ワン・ヴォイス』
でその特別な意味合いなどが報告されたが、本作はちょうど
それと対になる作品とも言え、ハワイの外側から観たハワイ
音楽の姿が描かれている感じのものだ。
それはある種の拡散と浸透とも言えるものだが、その一方で
その原点への回帰が見事に描かれてもいる。それらが見事に
構成された作品でもあった。
作品の中でも言われているように、ある時期のウクレレは子
供の玩具のように扱われ、スタダップコメディアンの小道具
としても使われる。その歴史は日本でもカーボンコピーの様
に同じだったもので、その符合も面白く感じられた。
それにしても、4弦しかない小さな楽器がここまで多彩な演
奏を繰り広げる、その様子も見事に描かれた作品。その一方
で楽器の持つ親しみやすさも見事に紹介され、これは本当に
この楽器が好きな人たちによって描かれている、そんなこと
も納得の出来る作品だった。
なお、この後で観たジョージ・ハリスンのドキュメンタリー
でもウクレレが登場するシーンがあり、そこでの扱いも本作
の通りで、それも面白く感じられたものだ。
『ジョージ・ハリスン』
“Gerge Harrisn: Living in the Material World”
ビートルズの一員として20世紀後半の音楽界を席巻し、ビー
トルズの解散後はインド文化の伝導者としても多大な功績を
残したギタリストの生涯を描いたドキュメンタリー。
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11月06日(日)
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