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On the Production
by 井口健二
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■永遠の僕たち、明日泣く、東京オアシス、密告者、灼熱の魂、一谷嫩軍記、エイリアン・ビキニの侵略、コンテイジョン、ラブ・アゲイン
それでも、やはり物語の経緯などはなかなか複雑だが、実は
僕は本作の物語自体は別の機会に知ることがあって、今回は
その予備知識によって物語を鑑賞することができた。お陰で
最後の場面では直実の心情に涙も込み上げてきたものだ。
とは言え、高札に隠された謎などはかなり難しいものだが、
昔の人はこういうことを全て知識として持って歌舞伎を観に
来ていたのだろうし、そういう文化が消えつつある事も憂え
る心境になった。
主演は、中村吉右衛門。因にこの芝居は初代吉右衛門が完成
させたと言われているそうで、上演の前には別撮りでの役者
自身による解説も付けられている。他に、中村富十郎、中村
魁春、中村梅玉、坂田藤十郎らが共演。
なお本作の上映は10月8日から、全国37館で行われる。
『エイリアン・ビキニの侵略』“에일리언 비키니”
今年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」でグラン
プリを受賞した作品。
主人公は、テコンドーの腕前を活かし個人で街の治安を守る
仕事に従事してきた男。その男がその日4人組の暴漢から救
出したのは、何やら謎めいた美女だった。そして男はその美
女を自宅に匿うのだが…
男は純潔の誓いを立てて、30歳を過ぎてもなお童貞を守って
いる。一方の女はエイリアンで、その種族は生涯で1日しか
子供を産む機会が訪れないという。そして彼女にはその1日
が今日だった。
こうして純潔を守ろうとする男と、何としても男の精子が欲
しい女の駆け引きが始まるのだが…。しかも女が子供を産む
と、何故か地球が滅びるのだということで…
まあアイデアは馬鹿々々しいけど悪くはないと思う。しかし
ストーリーの展開のさせ方がこれで良かったかどうか。特に
女性の目的がなかなか明らかにされないのは、観客としてか
なり間怠っこしい感じが否めなかった。
また途中でエイリアンは、「女はすでに死んでいた」と発言
するのだが、その経緯などはちゃんと示されているべきもの
だろうし、いくら低予算でも、その程度を描けなかったとは
思えない。
ただ、それを描かないのが監督の意志だったとしたら、それ
は大いに考え違いだとは指摘しておきたいところだ。
脚本と監督のオ・ヨンドウは、2007年に短編映画で監督デビ
ュー。その後に映画集団を立上げ、2009年製作の『隣のゾン
ビ』というホラー・オムニバスがプチョン国際ファンタステ
ィック映画祭で観客賞や審査員特別賞を受賞し、本作が長編
第1作のようだ。
で、その前作がどんなものだったのかは判らないのだが、本
作を観る限りでは、低予算をアイデアだけでは補い切れてい
ない感じがした。これはまあ、短編だったら誤魔化せたかも
知れないが、長編では無理が生じている感じのものだ。
ただしその監督の次回作には、「ゆうばり」の支援を受けて
本作と同じホン・ヨングンとハ・ウンジョンの主演により、
未来から来た女と一緒にタイムマシンを探す探偵を主人公に
したSFアクション映画がすでに製作中のこと。
それがどのようなものになるか…。それは「ゆうばり」の試
金石にもなりそうだ。
『コンテイジョン』“Contagion”
2007年6月紹介『オーシャンズ』や2008年12月紹介『チェ』
などのスティーヴン・ソダーバーグ監督による伝染病の恐怖
を描いた作品。
物語はいきなり「2日目」から始まる。それは香港に出張し
ていた女性が高熱を発して倒れるというもの。そしてその症
状は家族にも広がって行く。一方、同じ頃の香港でも同様の
症状が現れ始める。
その状況は直ちに世界保険機関WHOや,アメリカ疾病管理
予防センターCDCの知るところとなるが、そこに政治的な
思惑や人間の感情、さらにインターネットによる情報の広が
りなど、現代の世界を取り巻く様々な要素が絡まって行く。
そして物語は、ソダーバーグ監督の作品らしく、アメリカ、
ヨーロッパ、アジアの世界を股に架けた壮大な展開に広がっ
て行く。
題名は「接触感染」という意味だが、同様の作品では1995年
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10月02日(日)
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