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On the Production
by 井口健二
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■WAYA、ライオン・キング3D、クイック、スマグラー、RAILWAYS2、ネムリユスリカ、三銃士、サラの鍵
特に娘が母親と祖父に向ける愛情は人並みのものではない。
しかし、一家に犯人発見の報告がもたらされたとき、それは
レイプによって誕生した娘に新たな葛藤を生じさせることに
なる。
初主演で過去の母親と現在の娘の2役を演じるのは平野茉莉
子。テレビ番組のアシスタントや雑誌モデル、舞台を経て本
作が映画デビューとのことだが、圧倒的な存在感で作品を引
っ張っている感じだ。
共演は、2006年3月紹介『間宮兄弟』に出ていたという駒形
美如、テレビドラマ『琉球の風』などの岩尾拓志。
他に、今年3月紹介『ポールダンシングボーイ★ず』に出て
いたという中村太一、それに世界各地のピアノコンクールで
受賞の最年少記録を塗り替えているという小林愛実が特別出
演して演奏も聞かせてくれる。
という作品だが、この映画でさらに注目したいのは撮影の素
晴らしさ。この撮影は、脚本、監督も務めた坂口香津美が自
ら手掛けているが、特に一家が暮らす川原の夜間シーンで、
暗い中の近景から対岸の遠景まで見事にパンフォーカスされ
た映像には驚嘆した。
この撮影には、ソニーの最新型ヴィデオカメラが使用されて
いるとのことだが、元々がテレビドキュメンタリーを数多く
手掛け、ヴィデオカメラの特質を知り尽くした監督が、その
特質を極限まで使いこなした映像といえるようだ。
思えば、1999年に亡くなったスタンリー・クーブリックは、
1968年の『2001年宇宙の旅』で宇宙空間でのパンフォーカス
を得るためにモーションコントロールの基礎を作り、同じく
1975年の『バリー・リンドン』ではロウソクの明かりで撮影
するためNASA開発の高感度レンズを使用したものだが、
本作の監督はそれらを見事に実現してしまった。
そこには勿論ヴィデカメラの性能の向上もありはするが、そ
の性能を完璧に使いこなしてみせた監督には賞賛を贈りたい
ところだ。この映像には世界が驚嘆するに違いない。映画の
カメラマンは、もっとこの技術に学ぶべきだ。
『三銃士〜王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』
“The Three Musketeers”
すでに何度も映画化されているアレクサンドル・デュマ原作
の冒険小説に、今回は『バイオハザード』などのポール・W
・S・アンサースン監督が3Dで挑戦した作品。
邦題ではサブタイトルに「王妃の首飾り」とあり、映画にも
首飾りは出てくるが、デュマの同名の作品の物語ではなく、
ダルタニアンの出自から三銃士との出会い、リシュリュー卿
とミレディの暗躍、さらにルイ13世とアンヌ王妃、コンスタ
ンス、バッキンガム公などが登場する正に『三銃士』の映画
化になっている。
そしてそこに、邦題の後半「ダ・ヴィンチの飛行船」が出現
して、こちらはVFXも満載のアドヴェンチャーが展開され
る。さらには原作と同様の剣戟戦も次から次に登場し、これ
もVFXによって旧作以上の迫力になっている。
剣戟戦というと、最近では2003年8月紹介『パイレーツ・オ
ブ・カリビアン』がその魅力を復活させたものだが、同作の
続編がVFXの大スペクタクルを指向したのに対して、本作
はその原点に戻った感じだ。しかもアンダースン監督はそこ
にVFXとの融合も見事に果たし、さらに3Dの魅力も存分
に発揮しているものだ。
出演は、ダルタニアン役に昨年『パーシー・ジャクソン』で
も主演を務めたローガン・ラーマン。対する三銃士役には、
昨年12月紹介『ブローン・アパート』などのマシュー・マク
ファデン、今年9月紹介『ブリッツ』などのルーク・エヴァ
ンス、昨年2月紹介『パニッシャー』などのレイ・スティー
ヴンスンが扮している。
さらにミレディ役にミラ・ヴォヴィッチ、リシュリュー卿役
にはクリストフ・ヴァルツ、バッキンガム公役にはオーラン
ド・ブルーム。特に、アンダースン監督夫人でもあるジョヴ
ォヴィッチは、夫の演出による謎の美女役を実に楽しそうに
演じている。
また、コンスタンス役にイギリス出身のガブリエラ・ワイル
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09月25日(日)
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