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On the Production
by 井口健二
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■鉄拳、ホームランが聞こえた夏、A3DU、ドライブ・アングリー3D、アザー・ガイズ、アジョシ、ムーランルージュの青春+Comic-Con
ー』などのスティーヴ・クーガン、それに、1989年版『バッ
トマン』などのマイクル・キートンらが脇を固めている。
共同脚本と監督は、『サタデー・ナイト・ライヴ』の出身で
フェレルと長年コンビを組んでいるアダム・マッケイ。
もう1人の脚本と製作総指揮を務めたクリス・ヘンチーは、
フェレル、マッケイと共同でプロダクションを設立している
が、その一方でウォルバーグ製作総指揮のテレビ番組を手掛
けており、その関係で本作の共演が実現したようだ。
アメリカのコメディは、最近は日本でもヒットしている作品
もあるようだが、正直なところはなかなか難しい。本作は金
融不正など日本でも通じる題材が取り上げられて、観れば間
違いなく面白いものだが、問題は日本の観客にそれを気付い
てもらえるかどうかだ。

『アジョシ』“아저씨”
2009年8月紹介『母なる証明』のウォンビン主演で、昨年の
韓国でNo.1ヒットを記録したヒューマンアクション作品。
街の片隅に建つ古びたビルの一室で質屋を営む男と、その隣
の部屋で母親と2人暮らしの少女。家族も恋人もなく質屋の
客以外に部屋を訪れる人間もいない孤独な男には、少女の存
在だけが心の灯火だった。
その少女の母親はクラブのダンサーだったが、麻薬の中毒も
あってのかつかつの生活は1人娘を構う余裕もなく、少女に
は小遣いも友達もない。そんな母親が問題を起こし、少女に
危機が迫ったとき、男は予想外の行動を開始する。
一方、その界隈には警察の麻薬捜査の網も被せられていた。
さらに物語には臓器の密売組織なども絡んで、緊迫の度を加
えて行く。果たして、男と少女に平穏な日々が訪れることは
あるのか…。
『母なる証明』のウォンビンは、母親の過保護の中に生きる
無垢で繊細な若者を好演していたが、本作で演じるのは一転
して、少女を守り抜くために行動する寡黙だが腕力もある男
性。その変身ぶりは見事なものだ。
しかし監督のイ・ジョンボムは、『母なる証明』の彼の演技
を観て出演をオファーしたとのことで、その目も確かなもの
と言える。そしてオファーを受けたウォンビンは、自らアク
ションも演じることを志願し、撮影の数ヶ月前からトレーニ
ングを積んだそうだ。
共演は、2000年生まれ、2009年『冬の小鳥』という作品で韓
国の俳優史上最年少でカンヌ国際映画祭に招待されたキム・
セロン。彼女が主人公に向かって言う最後の台詞は、映画史
の中でも最も心に残る台詞の一つと言えるかも知れない。
他に、舞台出身のキム・ヒウォン、2004年11月6日付「東京
国際映画祭」で紹介の『風のファイター』などに出ていたと
いうキム・ソンオ、2005年10月紹介『女は男の未来だ』など
に出演のキム・テフン。いずれも映画界では無名に近かった
3人の若手が本作でブレイクしたそうだ。
さらに5月紹介『チョン・ウチ』などのソン・ヨンチャン、
2008年3月紹介『闇の子供たち』などのタイ人俳優タナヨン
・ウォンタラクンらが脇を固めている。
映画全体に漂う緊迫感や壮大な爆破シーンなど、エンターテ
インメントとしてもハイレヴェルの作品。韓国での大ヒット
も頷ける。

『ムーランルージュの青春』
1931年から51年までの20年間、新宿東口に存在していた軽演
劇とレビューを興行する劇場「ムーランルージュ新宿座」の
開館80周年を記念して製作されたドキュメンタリー。
劇場は、浅草で「玉木座」支配人を務めていた佐々木千里が
個人で開館したもので、喜劇中心の浅草軽演劇とは一味違う
風刺性を織り込んだ演劇や魅惑的なレビューのダンスなどで
一世を風靡したと言われている。
その劇場の歴史を、本作ではまずは裏方の舞台監督や美術監
督などへのインタヴューから始めて、徐々に当時の人気スタ
ーたちの青春時代の思い出へと繋げて行く。そこには劇団員
同士の恋愛は御法度という決まりの中で、結婚のため退団す
るといった話も出てくるが、それがまた新たな旅立ちであっ
たりもしているものだ。

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07月31日(日)
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